今回の巡礼先は「函館市北方民族資料館」です。
後半では、大沼だんごとエビフライをご紹介いたします。
以前にご紹介した網走の「北方民族博物館」と名前が似ている「北方民族資料館」。
「博物館」では世界の北方民族のひとつだった北海道周辺のアイヌの資料が、ここではメインで扱われています。
ゴールデンカムイを一度でも読んだことがある方なら「あ、漫画で見たあれだ!」と思えるアイテムが数多く展示され、テンション上がること間違いなし。
規模はそれほど大きくなく、決して派手な施設ではないのに不思議なノスタルジーと居心地の良さを感じさせてくれる「北方民族資料館」。
展示物と共に、その魅力もお伝えできたらと思います。
長くなるのでたたみますね。
函館市北方民族資料館
「北方民族資料館」は、函館山のふもと、「金森赤レンガ倉庫」の近くにあります。
函館駅から歩くと多分30分~40分はかかるので、駅から出ている路面電車かバスで最寄り駅まで行かれるのが良いと思います。
入館料は300円ですが、函館にある他の施設との共通入館券もあります。
詳しくは公式HPをご覧ください。
立て看板からそこはかとなく漂う昭和感。
しかしこの建物は、昭和ではなく大正時代に建てられた元日本銀行函館支店とのことです。
入口を入ると、吹き抜けのホールにアイヌの12ヶ月を描いた絵が展示されています。
壁一面に飾られた12枚の絵は大きくて迫力があります。
その中の1枚、12月の「熊檻の周囲を輪舞する図」。
一番奥の人の髪型が気になる・・・。
本当にこんな髪型だったのか、説明文に書かれている「誤った情報や誇張、差別的な表現」の結果なのか。
いらぬ疑惑を生まないよう、正しく理解し正確に表現するって大切ですね。
12枚全てご紹介したいところですが、これは個々に見るより一望した方が雰囲気伝わると思うので、バーチャルで見れるリンク貼っておきますね。
ちなみにこのバーチャルガイドでは他の施設も見れるので、トップページのリンクも貼っておきます。
便利な世の中になったもんです。
民族の名前は書いていない北方民族の分布図。
しかしあなどるなかれ。
これを見て、私はキロランケの「トナカイは北海道では飼えない」って言葉、納得することができました。
正直、ちょっとくらい暖かくてもいけるんじゃない?って思ってたんですよ。
でもこれはさすがに・・・無理っぽい。
そしてこんなに生業が違うのに、極東連邦国家を作るとか、ましてや北海道に移住して生活してもらうってのはなかなかに難しそうだなとも思いました。
続いて装いエリア。
豊富なデザインのニンカリ(耳飾り)。
こんなにいろんなデザインがあったとは!
そして常時着けているものかと思ったら、そういうわけでもないんですね。
ハレの日に着ける貴重な装飾品だからか、普段着けてると引っ掛けて危ないからか。
私だったら断然後者の理由で普段使いはできません。
男性はニンカリ着用禁止されてるのに、キロランケはくるくるしたやつがっつり着けてましたね(チカパシもですけど)。
温厚で情に厚い面がある一方、いやだからこそ、反体制な思想を貫き通す「キロランケ」というキャラクターをこういうところでも表現していたんでしょうか。
野田先生ってすごいなぁ。
小袖と陣羽織。
小袖、下着にするのもったいないくらい豪華じゃないですか?
高級な座布団か、お客さん用の布団みたい。
生地がサテンっぽく見えるからかな?
・・・発想が昭和ですね。失礼しました。
アイヌの人って和人に良い印象ないだろうなって思ってたんで、「そんなやつの服とか着たくない!」なのかなと思いきや、「え、これオシャレじゃん」って晴れ着として着てくれてたの、なんか嬉しい。
この陣羽織の説明を読んで、北方民族博物館で戦国武将みたいだなぁと思った衣装があったの、合点がいきました。
これもきっと陣羽織をそのまま着ていたんですね。
(ご参考:北方民族博物館でご紹介した衣装)
レタルペ。
アシㇼパさんが着ていた草皮衣。
作中でソフィアは「テタラペ」って言ってましたね。
呼び方は色々みたいです。
アザラシの毛皮、個体によって柄が色々なのかな?これはブチがちょっと控えめだな、と思ったら裏側だからですかね。
ヒョウ柄とかトラ柄とかありますが、アザラシ柄はどんな色にも合いそうだし、素朴ながらも上品な風合い。
フェイクでいいからこの秋冬のファッションとして流行ってほしいです。
カラフルな鉢巻かと思いきや帯でした。
確かに色使いが独特。
ピンクと黄緑とか合わせる?斬新!!
インカラマッちゃんが着てたのも刺繍衣でしたね。
色はちょっと違うけど、デザインはヘンケの被ってた帽子に近いかな?
青いガラス玉のワンポイントがあることに、実物を見て初めて気付きました。
エノノカちゃんの帯。
原作読んでる時、刀の鞘がしっぽみたいでかわいいなって思ってました。
元々はシャマンの帯だったのがサハリンの女性の飾り帯になったとのことです。
豪華でおしゃれだけどちょっと動いたらシャンシャンいっちゃいそう。
かくれんぼには不向きですね。
尾形が大変お世話になったシャマンセット。
尾形の罪悪感、取り去ってもらうどころか、浮き彫りになった感があります。
おなじみのアットウシ。
アイヌの衣装はその素材や作り方によって種類が色々あるようです。
どれもとても素敵です。
これはキロランケが着てたやつですね。
大きく派手な柄がよく似合ってました。
ルウンペ(色裂置紋衣)はキラウシが着てた衣装ですが、色のせいかこれはずいぶん印象違いますね。
カパラミプは曲線、ルウンぺは直線の布を縫い付けて文様を表現していたみたいなんですけど、刺繍同様、これはこれで結構大変そうです。
ちなみに文様は時代とか地域によっても違うようで、こういうのもそのうち資料を集めてちゃんと理解したいです。
いずれにしても、これだけの衣装を作るのは大変な手間と時間がかかったことと思います。
確かに展示するなら凝った文様の服の方が断然映えますが、着る服全てこのクオリティってわけにはいきませんよね。
普段着ならシンプルでいっかー、ってなるのもわかります。
形も文様も色も様々な鉢巻。
これには特に規定みたいなものはないんでしょうか。
鉢巻目立ちますからね、ここは個性の見せ所だったのかな?
アシㇼパさんとかインカラマッちゃんが着けてるチョーカーみたいなレクトゥンペ。
登別のクマ牧場に行った時、温泉街のお土産屋さんで売ってたのに迷った末買うのやめたんでした。
寒い地方だから布製でもいいけど、夏は汗かくからなぁ・・・とか思っちゃったんですが、帰ってから、着ける気満々だった自分にびっくりしました。
これに合う服なんてないし、そもそもどこに着けて行くの?!
これは飾って愛でるもんでしょ!
何を考えてたんだその時の自分。
次見かけたら絶対買います。
テクンペ思ってたのと違う!
でもこれはこれでパッチワークみたいでカワイイです。
一部ガラスが反射しちゃってますが、刀。
刀を下げる帯。
凝った刺繍がされているのも納得です。
たくさんのマキリ。
杉元も作ってアシㇼパさんに贈るのかしら。
でもウイルクのマキリがあるからな・・・。
いやいやそもそも生活力のあるアシㇼパさんにとっては、クオリティではなく「好きな男性が作ってくれた」ってのが重要に違いない。
杉元がんばれ!
館長の采配により追いマキリ。
せっかくの渾身の細工なのにうまく撮れず申し訳ないです。
アシㇼパさんの狩猟セット。
弓、結構大きいんですね。
ストゥ。
下のやつヤバくないですか?
もしかして振り回すタイプ?
これは制裁どころか命にかかわる!
キセルと煙草入れ。
どれも細工が細かくおしゃれ。
これは男性が自分のために彫るものなのかしら。
みんなで集まった時に、お互いのキセルと煙草入れの品定めしてそうです。
バブル期の腕時計的な。
ゴールデンカムイにはおいしそうな料理がいっぱい出てきますが、食にまつわる展示もありました。
そして注目すべきはこの説明文↓
突然のゴールデンカムイネタに「んっ?!」って声出ちゃった。
ここを訪れる人に巡礼者が多いってことをご存じの館長による粋な計らいですね。
アイヌの文様。
この文様、いつも描きながらきっとひとつひとつの形に何か意味があるんだろうなと思ってたんですが、やっぱりありました。
めちゃくちゃわかりやすい一覧。
印刷したものが置いてあったので、もらってきました。
これに限らず、アイヌ語一覧とか、アイヌ民族文様の型紙とか、先に紹介した衣装や道具についての説明文もそれぞれ印刷したものが置いてあるんです。
こういうの、印刷したり在庫管理するの、正直めんどいと思うんですよ。
でもそういう手間を惜しまず、帰ってから振り返りしたり思い出した時に見返したりしやすいよう用意してくれている。
本当にありがたいことです。
これまでご紹介した館長のユーモアあふれる説明文もそうなんですが、この資料館、展示の仕方からこういう配布物に至るまで、来館者が見やすく楽しめるように色々工夫されています。
資料館的なところにありがちな、「下々の者に貴重な資料を見せてやってる」感ゼロ。
興味を持って訪れた人に、アイヌのことを正しく、そしてもっと知ってもらいたい!という気持ちが押しつけがましくなく、しかししっかりと伝わってきます。
多分館長さん、ご自身がこの資料館大好きなんだと思います。
展示物を見ている間ずっと、「これすごくない?」っていう館長の声が聞こえる気がしました。
公共の施設だけど、全て館長に一任されているみたい。
ここの館長、実はすごい権力者か、はたまた地元の名士か、それか中央の目の届かないところで自由にやってる鶴見さんなんだと思います!(すみません、いつもの妄想です。)
ご紹介した資料の他にも、現在(といっても昭和か、ギリギリ平成?)のアイヌの方の生活が観れる映像があったり(ナビゲーターは宇梶さん)、休憩室っぽいところにはアイヌ関連の書籍が置いてありました。(野田先生のインタビューが載っている過去の雑誌とかいっぱいあるので、ゴールデンカムイファン必読です!!)
私は映像や本までじっくり見ちゃったので結局2時間半くらいいましたが、普通に展示物を楽しむだけなら1時間くらいで見学できると思います。
アイヌ文化を肩肘を張らずに学ぶことができるアットホームな資料館。
巡礼者でなくとも、ここを訪れた方はきっとこの資料館と館長のファンになってしまうと思います。
今回は展示物の一部しかご紹介できませんでしたが、他の展示物はもちろん、建物自体もすごく素敵です。
函館に行かれる際には、ぜひ「北方民族資料館」の来訪をご検討いただきたいと思います。
あ、こじんまりとはしていますが、お土産売り場もあります。
厳選されたアイヌ製品が色々売ってて目移りしちゃう。
こちらもぜひチェックしてみてくださいね。
大沼だんご in 大沼公園
賞味期限が当日と言う大沼だんご。
鶴見さんへの差し入れとして作中に登場したのを見た時から、ぜひ食べてみたいと思っていました。
お弁当箱みたいな見た目も気になるし、あんことみたらし、両方の味が楽しめるというのも魅力的。
しかしその短い賞味期限から、道外で購入できる機会はほぼなく、あっても激しい争奪戦が繰り広げられているらしい。
・・・これは現地に行って食べるしかない。
鯉登さんが五稜郭に行く時に買っていたので、おそらく函館周辺で買えるのだろうと調べてみると、だんごを売っている「沼の家」がある大沼公園駅までは函館駅から特急北斗で30分弱。
意外と距離あった!!
でもせっかく函館にいるならこの機を逃す手はない。
大沼公園はボートに乗れたりサイクリングできたり一日遊べるレジャースポットで、実際とても素敵な場所でした。
本来だったらゆっくりしたいところですが、今回はゴールデンカムイ聖地巡礼の旅なので、大沼公園へ行く目的は「大沼だんごを買う」。この一点のみです。
電車の時間に合わせると、大沼公園での滞在時間は約40分。
方向音痴の私は、店の場所がわからず迷ったら終了だな、と思っていましたが、「沼の家」は駅を降りてすぐのところにありました。
左手に見えているのが大沼公園駅で、右手の暖簾がかかってるのが「沼の家」です。
この距離ならさすがの私も迷いようがない。
だんごは「みたらし&あんこ」「みたらし&胡麻」の2種類、大きさはそれぞれ大小あります。
午前中に行ったので売り切れということはなく、無事に両方買うことができました。
これにて今回のミッションは完了です。
思った以上にスムーズに買えたので、帰りの電車まではまだ30分ほどありました。
この日はとても天気が良く、すぐ裏手にある大沼公園の景観が素晴らしかったので、ここでだんごを実食することにしました。
作中には右手のあんこ&みたらしが登場していましたが、胡麻&みたらしは後発で発売されたのでしょうか。
包み紙を見るとみたらしは無印、胡麻には「胡麻」と記載があります。
だんごには透明なシートがかかっています。
これ上手にはがさないとかなりのたれが持っていかれますのでご注意ください。
折にはあまり尖っていない串が一本入っています。
だんごは親指の先くらいの大きさで、小粒のマシュマロみたい。
一折にそれぞれ2種類の味が入ってますが、いずれも量はみたらしの方がやや少ない。
お弁当でいうとおかずエリアにみたらしが入っている状態です。
このエリアが均等ではない理由は、それぞれ大沼公園の大沼と小沼を、串に刺していないだんごは沼に浮かぶ小島を表しているからとのことです。
当時の人も、この豆知識に頷きながらだんごを食べたことでしょう。
早速実食。
みたらしは甘すぎずしょっぱすぎず。
ヤマ〇キのようなねっとりとした甘さのたれもおいしいんですが、大沼だんごのたれはそれとは違い非常にキレのあるスッキリした甘さです。
胡麻は、たまーにやや甘めでタレたっぷりのほうれん草の胡麻和えありますが、あんな感じです。おかずっぽい味。
あんこはもう王道。
とろっとしたタイプではなく、しっとりしたあん。
私はお菓子は甘くていいと思っているので、「甘くなくておいしい」という感想を持つことはほとんどないのですが、このあんについてはこの表現が一番しっくりくる気がしました。
いやいやこれは危険な食べ物です。
胃の隙間に入るような大きさであることもさもありなん、お菓子とお惣菜を行ったり来たりできる味変ループ。
まさに無限だんごです。
あと口がさっぱりしているのもその理由でしょうか。
とにかくおいしい。
全国に支店を出してくれないだろうか。
でもきっとそんな声はこれまでもあったはず。
それでも実現していないということは、なにかできない事情があるのでしょうね。残念。
大沼公園、次回はゆっくり滞在したいです。
伏線代表 エビフライ
駅に戻る途中、大きな木がありました。
足元を見ると何か落ちている。
こ、これはまさか?!
エビフライではありませんか!!!
まさか実物が見れるとは思わず、めちゃくちゃテンション上がりました。
まじまじと見ましたが、思った以上にエビフライ。
おままごとに使ったら急にゴージャスなメニューになりそうです。
持って帰ってきたかったですが、どんぐりを拾って帰って大惨事、という話を何度も聞いたことがあるので、万一を考えてそれは断念いたしました。
虫苦手なんですよ・・・。
1巻でエビフライが出てきた時はほほえましい豆知識のひとつかと思っていましたが、それがまさか28巻で回収される伏線だったなんて、本当にびっくりしました。
「地獄行の特等席」も「軍帽」も、菊田さんとのエピソードはこの時からすでに野田先生の頭の中にあったのでしょうか。
物語の終着駅でもあった函館の聖地巡礼。五稜郭編とあわせてレポは以上です。
函館は食べ物もおいしく見どころもいっぱい。
路面電車もバスも充実してるし、レンタサイクルなんかもあって車がなくても十分観光できました。
でも、函館山に足を踏み入れるなら車の方がいいかも・・・。
ここから函館山ですね、ということが明確にわかるくらい突如として壁(坂)が出現します。
旧ロシア領事館も行きたかったんですが、今は外観しか見れないというし、この壁に恐れをなして今回は見送りました。
車で行くよーとか、足腰に自信があるという方はぜひ函館山エリアの探索もお楽しみください!
函館、すっごく良かったです!!また行きたい!!!
ゴールデンカムイ聖地巡礼へのリンク
函館① 五稜郭編
網走① 網走監獄編
網走② 北方民族博物館&オホーツク流氷館編
登別温泉 登別クマ牧場編
札幌 北海道開拓の村編
番外編 アイスホッケー試合観戦編