巷で噂のインド映画「R×3」を観ました。
いやはやすごい映画でした。
あんまりすごすぎて、昨年2回観たのに最近復活上映していることを知ってまた観に行っちゃったくらいです。
映画をリピートするなんて、人生初。
なぜそこまでこの映画にはまったかと言うと、この映画が私にとって「ゴールデンカムイ実写版」だったからです。
この記事はゴールデンカムイ大好き人間が観た「R×3」の感想です。
万一、検索などで一般的な映画の感想を求めて迷い込んじゃった方がいらしたら本当に申し訳ない。
一応映画のタイトルとかぼんやりさせてみましたが大丈夫だろうか・・・。
ここに純粋に映画を楽しみたい方の参考になるようなまともな感想はありません。
どなたさまも、閲覧どうぞご注意ください。
一部ネタバレがありますのでたたみます。
この映画を観る可能性がある方は、ぜひ映画をご覧になってからお進みください。
あらすじや人物紹介、そして予告編はこちらをチェック!
私がこの映画がゴールデンカムイ実写版だなと思った大きな理由はふたつあります。
ひとつは主人公ふたりが杉元ばりに不死身だったから。(これについてはネタバレを含みますので後述します。)
もうひとつは、映画を観た後の爽快感と高揚感がゴールデンカムイを読んだ時の感覚にものすごく似ていたから、です。
話の緩急の降り幅の大きさ、派手でリアルなアクションがある一方繊細な描写があるところ、あちこちに散りばめられた伏線回収の見事さ。
物語の背景にある歴史や文化を知っている人にはわかるであろうエピソードが盛り込まれた人物像や設定。
観るたびに新たな発見がある仕掛けや小ネタ。
ハードな暴力的なシーンもあるけれど、作品全体から感じられる監督の優しさ。
そしてなにより観る人を楽しませようというパッション。
「これがゴールデンカムイ実写版ですよ」と言われたら、「ああそうですか」と納得できる気がしました。
ちなみに私がこの映画を観たきっかけは、たまたま入った飲食店で隣り合わせた若者が、ご友人にこの映画のおもしろさを力説していたのを聞いたからです。
例えば山菜を取りに行ったとして、あそこに山菜いっぱいあったよ!(採取済み)というのと、あそこに山菜いっぱいあるよ!(一緒に採ろう)って全然違うじゃないですか。
その若者は山菜採りが楽しかった話をしたかったのではなく、おいしい山菜がある場所を見つけたから一緒に採りに行ってふたりでヒンナしたかったようでした。
でも残念ながらご友人にはあまり刺さっていないご様子。
わかるよー、布教、難しいよね・・・。
しかしこのプレゼン、私には刺さりました。
私にとってインド映画といえば昔流行った「ムトゥ踊るマハラジャ」(未見)。
「長い」「唐突にみんなで踊る」くらいしか知識がありませんでしたが、袖振り合うも多生の縁。
未知の世界にどんなお味の山菜があるのか確かめに行くことにいたしました。
プレゼン時に結構なネタバレを聞いていたので、大方のあらすじと見どころは予習済み。
・・・と思っていたのですが、実際映画を観たら予想をはるかに超えたスケールと迫力にただただ圧倒されました。
こんなにネタバレが役に立たない映画ってある?
正に百聞は一見に如かず。
どんなに言葉を尽くしても、この映画の魅力を伝えきることはできません。
ここで私は自分がゴールデンカムイ実写版に何を望んでいるか気付きました。
ストーリーはわかってるし、アニメで登場人物が動いたりしゃべったりしている様子も見たことがある。
原作のあのシーンを実写化したからといって自分のイメージと違ったらがっかりだし、そもそも原作の魅力を実写で表現できるのか、むしろ実写化したらそれを損なってしまうのではないか。
そんなマイナス思考のファン(私)の持つイメージなんか吹き飛ばしちゃうような圧倒的なパワーを持った、「これがゴールデンカムイだ」という映画をみせてほしい。
現時点では「R×3」が私の中ではゴールデンカムイ実写版ですが、これを上書きするような映画になってくれたら嬉しいです。
とはいえ「R×3」は物語も登場人物もゴールデンカムイとは全然違うし、金塊も刺青人皮も出てきません。
そんな映画を観て早々「これはゴールデンカムイ実写版かな?」と思ったきっかけが、冒頭で申し上げた「ふたりの主人公が不死身の杉元だったから」です。
以下に私が思うこの映画のゴールデンカムイポイント(?)を記しますが、正直私の感想はどうでもよく、できればご自身でそれを確かめてほしい。
でも、どうしても行けんのよ、とか、なんでもいいから情報入れてから観たい派なのよ、という方がいらっしゃるかもしれません。
なんらかのお役に立てれば嬉しいですが、妄想が暴走しすぎて映画を観た方にも観てない方にもなんのこっちゃな内容の可能性があることをご了承ください。
※以下映画の具体的な内容に触れてます。
まずはラーマ。(軍服的なものを着ている・ロン毛で弓矢を操る・火の神)
数千人はいようかという群衆にこん棒一本を持って単独で突っ込み、その中にいるひとりの男を捕らえるというシーン。
これ本当にすごかったです。
こんな大勢相手なのに、全然動きが不自然じゃなくて。
正に鬼神のごとき戦いぶり。
日露戦争での不死身の杉元、こんな感じだったんじゃないでしょうか。
これを見たらそりゃ鶴見さんもスカウトしたくなっちゃいますよ。
そして若かりし杉元が東京に出てきた時に「指一本でも攻撃してくる」って言われてましたが、そのシーン、あります。あった気がする。
そしてビーム。(最初はアクタル・動物と飛び出す・ホースを振り回す・水の神)
森の民であるビームは、丸腰でトラと戦います。
罠にかかったトラとロープの引っ張り合いになり、苦闘の末ビームが力でねじ伏せます。
物語も序盤でまだ「R×3」の世界に入り込めていなかったため「さすがにこれは無理があるんじゃ・・・」と一瞬思いましたが、杉元もしづか号でヒグマを持ち上げていたので、これはアリだと思い直しました。
仲間の援護もあって力尽きたトラに「兄弟よすまん」と声をかけるビームのまなざしが優しい・・・。
ラーマもビームも普段は笑顔のかわいいごく普通の好青年。
ところがいざ戦闘モードになると驚異の戦闘能力と強靭な精神力を発揮します。
ラーマが任務で捕らえたビームの仲間の男を拷問するシーンがありますが、その男の仕掛けた毒ヘビにかまれ己の命が1時間と知ると、すぐに男の拘束を解き逃がしてやります。
ラーマは自身の目的達成のために手柄を立てて出世しなくてはいけないので、この拷問、結構容赦ないんですよ。
でも自分が死ぬなら手柄を立てるもなにもないので男を解放するのです。
そんな急に通常モードになるもんだから初めて観た時は感情がついていきませんでした。
このON/OFFの切り替えの早さも、正に杉元でした。
数あるふたりの不死身エピソードの中で私が「ベストオブ不死身」と思ったのが、絶対死んだと思ったラーマが牢屋で懸垂をしていたシーン。
これには網走でおにぎりをほおばっていた杉元の姿を見た時と同じ衝撃を受けました。
人物だけでなく、登場するアイテムにもゴールデンカムイポイントがあります。
この映画の舞台は1920年、イギリス統治下にあるインドです。
杉元とアシㇼパさんが出会ったのが1907年だから、時代的には結構近い。
街には馬がいたり、機関車が走っていたりしています。
そして回想シーンで出てくる銃が、杉元たちが持っていたのと見た目がとても似ていました。
弾が連なってたり、ジャキッて装填するところも同じ。
これはラーマの子ども時代、物語の15年前の出来事で、ちょうどゴールデンカムイと同年代だからでしょうか。
私は実際にこの銃を撃つところを初めて見たのですが、なんつーかこう・・・武器でした。
いや当たり前なんですけど、その迫力というか、破壊力というか・・。
杉元ってこれに何発も撃たれてるけど死なないじゃないですか。
だからそんなでもないのかなって思ってたんですが、普通の人だったらちょっとかすっただけでも失神するレベルの威力でした。
みんなこんな物騒なもん持ち歩いていたんだ・・・。
そういや杉元も街中では銃に布巻いてる時ありましたね。
当時の治安がどんな感じかわからないのですが、これをむき出しで持っていたら少なくとも周りの一般人は怖かったと思います。
この映画の予告編をご覧いただくとわかる通り、動物、たくさん出てきます。
先にご紹介したトラやウマ、ヘビの他にもクマ、シカ、オオカミなど、ゴールデンカムイでもおなじみのラインナップ。
これオールCGらしいのですが、めちゃくちゃクオリティが高かったです。
今の技術ってすごいんですね。
この技術、ゴールデンカムイにもぜひほしい・・・。
物語の後半(世界一の肩車あたり)からは怒涛の展開。
ここで注目したいゴールデンカムイポイントは、影です。
網走で二階堂の影に杉元が気付くシーン、立ち位置は逆ですがあれあります。
あのシーン、原作でもかっこいいから大好き。
その後は弓矢も出てきて、ラーマもビームももはや神の領域に突入です。
主人公のふたりにはインド独立運動指導者のモデルがいて、この物語は「実際には接点がなかったふたりが出会っていたとしたら」というところから発想を得ているとのことなのですが、史実だけでなく、インドの伝説とか神様とかいろんな要素が盛り込まれています。
ゴールデンカムイも「函館戦争で死んだはずの土方歳三が生きていたら」というもしもの世界のお話。
こういう歴史改変物語って、フィクションなんですけど、ちょいちょい挟まれる史実がリアリティと厚みを増すから物語に説得力が生まれますね。
他にもご紹介したいゴールデンカムイポイントはたっくさんあるのですが、あんまりネタバレするのもアレなので、このくらいにしておきます。
上映時間3時間と聞くと長い!と思うかもしれませんが、体感は1.5時間くらい、鑑賞後にあんなことやこんなことがあったなあ・・・と振り返ると、6時間くらい観てたんじゃないかと思っちゃう濃厚な映画です。
大人だったら2,000円弱で最高にエキサイティングな3時間を過ごせますので、ゴールデンカムイファンの方もそうでない方も、興味がある方はぜひ映画館でご覧ください。
リスペクトを込めて「R×3」風杉リパ。
この歳になって自分至上最高と思える漫画と映画に出会えるなんて、人生なにがあるかわかりませんね。
最後に、ゴールデンカムイポイントではないけど、ここは観てほしいというシーンがあります。
ちょっと色薄くしときますので、良かったらチェックしてみてください。
ラーマがビームを鞭で打ちながら、返り血と共に涙を拭うシーン、何度観ても胸アツです。一瞬なのでお見逃しなく!!
実写化決定が約1年前の話とは。
好き勝手言って申し訳ない・・・。
キャスト決定!
映画観ました。RRR超えました。