ゴールデンカムイだらけ

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アニメゴールデンカムイ第四十話「ボンボン」 感想

第四期四話目は、鯉登さんと鶴見さんとの出会いを描いた「ボンボン」です。

色々な意味で神回でした。

 

以下ネタバレ含みますのでたたみます。

 

 

小西さんの薩摩弁、すごかったですね。

ちゃんと14歳なり16歳なりのかわいらしい声での長台詞。

そして全編を通じてあそこまで方言まんまにもかかわらず、字幕なし。

潔い。

ここは観る人全員がわかるようにと変に歩み寄ってくれなくて本当に良かった。

制作途中には、原作に忠実にアニメ化することに躊躇する意見があったかもしれません。

「ガチ勢はわかるかもしれないけど、普通の人は何言ってるかわからなくない?」とか。

私も原作を読んでなければ多分ほとんどの単語が聞き取れなかったです。

でも野田先生のお話作りと声優陣の熱演のおかげで、だから話がわからない、ということはなかったと思います。

アニメが初見って方には不親切だったかもしれませんが、長い目で見れば必ず理解されるはず。

と信じてます。

とにかく私にとっては神回でした。

 

 

角を曲がったらぶつかるなんて、王道すぎる運命の出会い。

しかも相手がこんなイケメン&イケボだったら老若男女問わず一目惚れしちゃう。

鶴見さんはここで鯉登くんに出会い、その素性を知ってこれは使えると函館を舞台にした2年後の誘拐事件のシナリオを描いたのか・・・と思って観てたんですけどちょっと待って。

そもそもなんで鶴見さんは鹿児島に来たの?

西郷どんのお墓参りというテイみたいだけど、鶴見さんがお墓の場所確認しないで来るなんてことある?

となるとベタにも見えるこのファーストコンタクトは鶴見さんの演出?

演技だからあんなに不自然で派手な倒れ方だったの?

鶴見劇場がここからすでに開幕していた可能性に、アニメを観て初めて気付きました。

 

生意気なボンボンな描写も多々ありましたが、あんぱんのかじってない方を兄さあにお供えしたり、こんなかわいい笑顔を見せたり。

本当に育ちの良いお坊っちゃんの鯉登くん。

でもそんな彼の心にも傷があります。

鶴見さんて「嘘」が上手なんですが、必ず「救い」も与えるんですよね。

その「救い」は本人が本当に望んでいることだから、後に「嘘」を疑うことがあってもそれから目をそらしたくなるし、認めたくなくなる。

「嘘」と「救い」を天秤にかけて重い方を取ってしまった月島の気持ちもわかる気がします。

 

誘拐犯の声、今聞くと月島ですね。

これ初めて原作を読んだ時は彼らの正体に考えが及ばなくてですね、尾形の顔の傷を見てもう1回読み直しました。

初見がアニメだったら声でわかったかなぁ・・・自信ないな。

原作では「白い帽子が尾形」と認識してたんですが、アニメだと両方暗めの色なので、「白いテープ?リボン?が付いてる帽子が月島」と変換して観ました。

 

「音之進には死んでもらうしかなか」と話している鯉登パパの後ろのドアが少し開いています。

これは鶴見さんサイドの誰か(菊田さんとか)が立ち聞きしてるのかな?と思いきや、よく見ると銃身の長い銃がのぞいている。

この描写は原作にはないですが、この後の伏線となる大切な場面なので追加されてますね。

・・・そしてこれにはアニメ第五期への伏線も含まれているんじゃなかろうか?(希望)

 

ジブリばりのタンデム、鶴見さんのウインクの効果音はパチンッ☆ではなくキラリーン!でしたね。

手裏剣みたいにくるくる飛んでしまった鶴見さん。

この後のアクロバティックな体勢で着地してる姿好きなんですが、アニメでは一瞬で画面外に消えてしまいました。

それにしても鶴見さんの身体能力半端ない。

なんだかんだ言って鶴見さんも不死身です。

 

馬に乗って追いかけてきた人、原作を何周かしてやっと菊田さんだと気付きました。

それまでこの人は本当に撃たれて落馬したんだと思ってたんですよ。

その後「あれこれもしかして菊田さん?」って思ってよく見たら弾道も描かれていないし、弾が身体に当たった描写もない。

アニメは原作より一層茶番感が増してる気がします。

菊田さんのスタントだって周りで見ていた人にはバレていたかもしれませんけど、視野を狭められ運転もしなくてはいけない鯉登パパは私と同じくすっかり騙された様子です。

この誘拐事件にリアリティを持たせるためにここまでするなんて。

鯉登パパを抱きかかえるようにして銃を撃つ姿も、鶴見さんらしいなぁと最初はのんきに思って見てましたが、全て計算しつくされた野田マジックでした。

鶴見さん、いや野田先生って本当にすごい。

 

ヒロインを救いに来たヒーロー。

後光に照される演出もばっちりですが、もっとキラキラさせても良かったかも。

ほら、埃が光ってエフェクトみたいになることってあるじゃないですか。

とか思ってたんですが、毎回もうちょっと画面が明るかったらいいのになぁと思うのは、もしかしたら我が家のテレビがポンコツだからかもという気がしてきました。

 

兄さあが亡くなってから封印されていた鯉登パパの笑顔が見れました。

鯉登一家が落ちた瞬間です。

その後ろで事後処理をする尾形たち。

尾形・・・どんな気持ちでこの団らん風景を見ていたんでしょう。

 

鯉登さんの紺の軍服姿を久しぶりに見ました。

早口の薩摩弁、ここは原作でもはっきりした台詞は書かれていませんが、きっと野田先生が補足してくださったのでしょう。

ありがたいことです。

 

鯉登親子の信頼を得た鶴見さん、ここまでずっと誠心誠意鯉登少年奪還に協力する陸軍将校を演じてきての、最後の最後で顔が見えない口元だけのこのカット。

言い方とかもめちゃくちゃ含みがあって、芳忠さんがうますぎる。

こういう場面をちょいちょい挟んでくるから鶴見さんの言うこと信じられなくなるんですよ!

 

鶴見さんはこの先の金塊争奪戦には鯉登パパの援護が必要になると思ったから今回の誘拐事件を仕組んだんでしょうけど、「鯉登くんが仲の悪い海軍と陸軍の橋渡しになってくれる」という言葉には嘘はなかったんじゃないかと思います。

日本の軍事力を盤石なものにしたいと考えていた鶴見さんは、軍内での不要ないがみ合いは排除すべきと思ってそうですし。

それを期待して鯉登くんを魅了したわけではないだろうけど、結果的に自分を慕って陸軍を選んでくれて多少なりとも嬉しい気持ちはあったんじゃないかしら。

だからって誘拐したことを後ろめたく思うとかはなさそうだし、むしろさらに利用できるぞと思った可能性もありますけどね。

月島や尾形、宇佐美のことも、利用はしたけど鶴見さんなりに愛してたんじゃないかと思える場面が見えてきました。

物語が完結してから振り返ると、同じ風景も違って見えるもんですね。

 

ラストシーンにエンディングテーマがかぶる演出。

これは物語の余韻を最大限に引き出すシティハンター方式ではないですか!

終わり方まで最高な「ボンボン」回でした。

 

 

同時視聴会で「『いご草』って月島回かと思ってたら鶴見回だった」って竹本さんがおっしゃってましたが、「ボンボン」も鯉登回であり鶴見回でもありました。

そして出番は少なかったですが、尾形回でもあった気がします。

あの背中をさするシーン、月島が意外そうな顔してましてたが(見えないけど)、私もびっくりしました。

どういう感情なの?って不思議だったんですけど、覆面の下は笑ってたって聞いて納得。

そして尾形の闇の深さを知って驚愕。

悲しい。

尾形は自分が欲するものを全て持っている鯉登さんが本当に憎たらしかったんですね。

鯉登さんだって順風満帆にきたわけではないんですけどね、尾形については鶴見さんがもうちょっとなんとかしてくれていたらと思わずにはいられません。

ロシア語も、話せるようになっておいてくれと鶴見さんに言われて一生懸命勉強したんじゃないかなぁ。

菊田さんは・・・ロシア語話せなくてもできる役でしたね。

 

一方月島は、子どもながらに軍人の魂を持ちガッツもある鯉登くんのこと、好きになったと思います。

LOVEって意味じゃなくて人間として。少なくともこの時点では。

鯉登さんがお父さんに樺太先遣隊としていい報告ができて嬉しいと言っていたのを肯定してあげたのも、鯉登さんのこの過去を知っていたからなんでしょうね。

尾形も月島もお父さんと確執があり、ふたりとも自らの手で殺しています。

同じ状況で同じ人を見てるのに、一方は嫌いに、一方は好きになるって、どっちが正しいとかじゃないんですけど、人によって世の中の見え方って変わってくるもんなんだなぁと今回感想を書いていて思いました。

 

過去の出来事ながら各々の思惑や関係性を浮き彫りにし、今後の展開にも大きな影響を与える重要なエピソードだった「ボンボン」。

鯉登一家はもちろん、中山大尉の薩摩弁が素晴らしかった!!

特に「武人の鏡かと存じます」という中山大尉のセリフは原作を超えたんじゃないかと思います。

作画の乱れもほとんどなくて、正に神回。

こんなええもん観せてもろて、感謝しかありません。

 

 

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