めちゃくちゃ加筆すると言われていた30巻。
着地点が決まっているので、そこに向け、よりわかりやすく道すじが整えられたなという印象です。
一方で解釈が変わるような加筆もあったりして、31巻も同様の加筆があるとすれば、この30巻の感想はまた違ったものになっちゃうかもしれません。
読み返すたびに新しい発見があり、過去の話を読み直したら気付くことも多いので「今はこうなんじゃないかと思う」ことしか書けませんが、読みたてフレッシュな時の感想を残しておいて後で笑い話にするのも悪くない。
最終話ありきの加筆が多かったので、30巻より先の内容をネタバレしちゃってる部分があります。
そして私二階堂戦大好きなんでまたちょっとわけわかんないこと言ってますが大丈夫でしょうか。
初めてこのブログを読むという方を驚かせたら申し訳ない。
何度か訪れて大体の傾向はわかってるという方は、あ、この人また変なこと言ってるわーと軽く流してくださいね。
今回すごく長いです。
お時間に余裕のある時に、ぜひ30巻をお読みになってからお進みください。
- 第291話「骨董品」
- 第292話「函館湾海戦」
- 第293話「侵入者」
- 第294話「静寂」
- 第295話「ふたり」
- 第296話「武士道」
- 第297話「五稜郭脱出」
- 第298話「ウイルクの娘」
- 第299話「許し」
- 第300話「再延長戦」
- 第301話「第二陣」
- 第302話「車内暴力」
第291話「骨董品」
最初に各陣営の大まかな位置関係がわかるようなページが追加されましたね。
夜景なんで見にくいですけど、先生の絵とは逆方向から、つまり門倉たちがいる函館山の頂上から五稜郭方面を見るとこんな感じです。
鯉登司令官の艦隊がいるのは左側の湾(黒いところ)です。
大砲を撃ったのはここよりちょっと低めの位置からですが、ご覧の通り艦隊との間に遮るものは何もないので、マンスールも照準を合わせやすかったと思います。
マンスール、強面揃いのソフィアの手下なのに、ゆるキャラみたいな風体。
腕は確かで優秀な砲兵だけど、最初出てきた時は「・・・誰なの?」ってなりました。
第七師団サイドから見れば戦いにくい状況にもかかわらず、的確な指示と鯉登司令官の援護で堅い守りをこじ開けようとする鶴見さん。
自ら率先して戦う姿に、兵士の士気も高まったことでしょう。
鶴見さんとても生き生きしていますね。
本当に戦争が好きなんだなと思ってしまいました。
連載時は鶴見さんの言葉を素直に受け取ったように見えた鯉登さんでしたが、ちょっと表情変わりましたね。
鯉登さんの心境になにか変化があったのかな・・・?
オウンゴール的な一発でぶっ飛んじゃった気球。
有坂閣下から気球の話が出た時は、旭川での白石救出作戦の伏線だと思ってました。
もちろんそれもあったでしょうが、「偵察用」「一発撃たれたらぶっ飛ぶ」という言葉からして、本命はこっちだったのかも。
でもこの話が出たのは10巻(第94話)ですよ!
・・・野田先生おそるべし。
第292話「函館湾海戦」
本誌には「もすよさらば?」というあおり文が入ってたので、「え、鯉登パパ死んじゃうの?」とドキドキしながらページをめくりました。
突如として暗闇に登場した尾形。
体勢からして木の上とかにいるんだろうなとは思いましたが、その場所は不明。
尾形が思い浮かべるアシㇼパさんがなんかちょっと普段のアシㇼパさんと雰囲気違うけど、尾形にはこんな風に見えてるのかな?
連載時は権利書の存在を知ってるっぽかったですが、「権利書あるってほんとかな?」というニュアンスに変わりましたね。
最初この尾形の独白を読んだ時、私は(権利書を持っている)アシㇼパさんを撃って現場を混乱させるのが目的なのかなって思いました。
でも今回の変更で、「自分の思いどおりに事をはこぶために、権利書がもしあるなら手に入れたい」と思ってることがわかりました。
どうやら尾形にはやりたいことがあるらしい。
これ言っといてもらえると、このあと尾形が色々語ってきた時、これは引っ掻き回すためではなく尾形がやりたいこととして言っているんだな、と素直に受け取れるからありがたいですね。
あの時はなんの心構えもなかったので、フェイクなのか本心なのか、すぐには判断しかねましたよ・・・。
尾形はヴァシリがこの場にいるって確信しているようです。
自分はできる子だと思ってる尾形は、自分と同じ思考回路を持つヴァシリの評価も高いですね。
キラウシって初出の時は淡々とした印象だったし、アニメの声も低めで落ち着いていたので、杉元たちより年上の30~35歳くらいかなって思ってました。
それが権利書を見つけた時にこんなに目をキラキラさせちゃったり、「やっつけるんだ!!」なんてかわいい言い方したりして、もしかしたらもうちょっと若いのかもしれません。
土方さんたちと出会ってキラウシの運命はずいぶん変わりましたね。
それには門倉さんという相棒の存在も影響を与えているのかな?
船が沈む時は船長も一緒にって聞いたことあるけど、そうなの?どうなの?と思っていたことが、加筆により「やっぱりそうなんだ・・・」と確信に変わってしまいました。
鯉登パパは鶴見さんの駒だったのかなぁ。
登別温泉で一緒に楽しそうにお風呂に入っていたのを見ると、誘拐事件がなくても仲良くなれたのではないかと思いますが、それではさすがに艦隊を出す、まではしてくれないか。
鶴見さんが網走やこの函館での戦いを想定し、なんとしてでも鯉登パパに恩を着せておきたかったとすると、利用されただけの鯉登さんは本当に気の毒です。
鯉登さんこそ、誘拐事件がなくても鶴見さんの腹心の部下になる人材だったでしょうにね。
とうとう杉元が参戦。
杉元が最初に頭部を狙うのは、脳とか目とかにダメージを与えて反撃されないようにするためでしょうか。
私がこれまで読んできた漫画では、こういう場面で主人公が切りつけるのは大体首から下でした。
なんの躊躇もなく、無言でいきなり相手の顔を刺す主人公なんて見たことない。
ま、杉元のそういうところ、私は大好きですけどね!
第293話「侵入者」
二階堂が仲間の手を借りながら掘を渡ります。
師団のみなさん、これまでもちょいちょい助け合ってるシーンがあり、とても仲間思いであることがわかります。
チームワークも良く、やられても何かしらの反撃をしてくる、さすが陸軍最強北鎮部隊。
そしてだからこそ、この兵士たちを倒していく杉元たちの強さが際立ちます。
ここでの戦いは2度目だという土方さんがとても頼もしいです。
土方さん、監獄にいる間、五稜郭での戦いについていろんなシミュレーションしていたんだろうなぁ。
勝つのは我々だ、じゃなくて、生き残るのは我々だ、というセリフがとても生々しくかっこいい。
志半ばで死ぬって、本人にとって本当に無念なことだと思います。
杉元もですけど、白石は死んでいった仲間の言葉をちゃんと覚えていて、守ろうとしてくれる。
いい加減な時もありますが、それも含めて、やっぱり白石はいい男です。
テンションが上がり過ぎてちょっとお下品になっちゃった鶴見さん。
でも月島の表情からして、わりとよくあることみたい。
第294話「静寂」
トニさんはね、夜ならともかく、こんな敵味方入り乱れる日中の戦いに参加しちゃいけなかったんですよ。
なんかもっと違う方法で役に立つことはなかったんだろうか。
これが今生の別れになることがわかっている土方さん。
なのに振り返らないところが杉元に似ています。
ここまで月島の色んな姿を見てきましたが、この手投げ弾を瞬時の判断で蹴り返すところ、私の中では「ベストオブ月島」なシーンです。
こんな人がチームにいたら、きっと全員惚れてしまう。
初めての実戦に戸惑ってた鯉登さんは、いつのまにやら旗手さながらの先導ぶりを見せてくれるようになりました。
ここは文句なしにかっこいいです。
この躍動感あふれる鯉登さん、精巧なフィギュアにしたら爆売れ間違いなしじゃないですか?
部下たちが素晴らしい働きをする中、鶴見さんのテンションがやっぱりひとりおかしい。
一般人の夏太郎はいつでも読者(私)の気持ちを表してくれます。
そんな鶴見さんの恐ろしい般若のような・・・これは笑顔?
真っ黒に塗りつぶされた背景。
鯉登少年、ついて行って大丈夫かい?
ゴールデンカムイでは、その人にふさわしい死に様が描かれていると思います。
野田先生とても絵がうまいので、視覚的にも美しすぎるこのトニさんの最期なんですが、どこか小説を読んでいるような気になるのはなぜでしょう。
連載時、トニさんの死に、ここからは誰が死んでもおかしくない。心して読まねば・・・と思ったその矢先!!
最終ページを見て、ええええええ!ってなりました。
今回修正されてますけど、このコマ、二階堂の左足から散弾が出てるように描写されていました。
その状態で本来義足である右足から散弾が出たとしたら、杉元の左こめかみあたりから右ほほに向けて散弾が貫通してるように見えたので、「こんなん死ぬじゃん!ニカイダーキック(本誌のあおり文)とか言ってる場合?!」と心配で心配でこの日は全然眠れませんでした。
鏡を見ながら最小のダメージで済む軌道を模索したり、ゼロ距離での散弾銃はそんなに威力ないかもしれないと考えたり。
当時はブログに感想を書いてなかったので気持ちの持って行き場もなく、杉元がどうなったのか知るまで絶対死ねないと思って、交通事故とかに遭わないように気を付けて1週間を過ごしましたね。
第295話「ふたり」
単行本は続きがすぐ読めてありがたい。
命にかかわる、もしくは今後の生活に影響がある後遺症が残るのではないかと思われた杉元は、結局頬の一部と耳たぶが若干えぐれただけ(だけ?)で済んだことがわかりました。
やれやれひと安心。
しかし今回、二階堂の義足の修正に伴い杉元のダメージが倍増している!
頬が削られて歯が見えてるし、耳たぶも大きく損傷しています。
そして至近距離から撃たれたので、口の中から硝煙は上がるわ、飛び散る血は増量するわ。
普通だったら多分気絶して即入院の大けがですが、一瞬のけぞっただけですぐ反撃できちゃう杉元。
フィジカルだけでなく、メンタルも不死身です。
兄弟を殺された恨みを吐露する二階堂に、ここまでずーっと黙々と人殺しをしてきた杉元が、「ごちゃごちゃうるっせえな!!殺し合いだろうがよ!!」って言うこのシーン、私大好きなんです。
読んだ時しびれました。
感動するようなセリフではないし、なんでなのか自分でもよくわからなかったので、今回感想を書くにあたってその理由を己に問うてみました。
ひとつはおっしゃる通りだから。
こういう状況で殺す理由を説明したり、本当は殺したくないんだとか急に語り出したりすることってあるじゃないですか。
実際はそんなこと言ってる途中に殺されますよね。
一切の言い訳をせず、殺し合いだと言い切る杉元が潔い。
もうひとつはどんなに攻撃されてもひるまず、死なないために全身全霊をかけて戦う杉元の生存本能が魅力的に見えるから。
これ端的に言おうとするとあからさまになっちゃうんで、マイルドに言い換えるならば「かっこいい」ですね。
あとひとつは、これが読者である私に向けられた言葉のように思えたから、です。
これから先、きっとどんどん人が死んでいくじゃないですか。
その時に、「えー死んじゃうの?」とか「なんで死んじゃうのよー」とか「殺すなんてひどい」とか言っちゃいそうな自分に、「ぬるい生活してるお前に言われたくねぇ、こっちは命がけなんだからごちゃごちゃ言わずに黙って見てろ!」と喝を入れられたような気がしたんですよ。
・・・だから好きって、なんだかすごいドMみたいですね。
杉元の機転の早さもさることながら、やはり身体能力の高さが二階堂を圧倒します。
なんとか杉元を殺したい二階堂、とにかく持てる武器を総動員して応戦します。
散弾銃の次はお箸。
柔らかい首に刺すとか、骨に沿って肉に食い込ませるとか、相当痛い。
多分拷問で使われてもおかしくないレベル。
でも杉元は全然動じません。
杉元の痛覚、一体全体どうなっちゃってるの。
杉元の「兄弟仲良く地獄で待ってろ」というセリフを聞いて、ああ、杉元は自分も地獄に行くつもりなのか・・・これは杉元の未来を暗示しているのではないだろうか?と、この戦いの行く末がとても心配になりました。
二つに裂けちゃった二階堂。
手投げ弾が爆発した以降の言動がもうホラーなんだかギャグなんだかわからなくて、これはもしかしてモルヒネ中毒だった二階堂が見た幻覚なんじゃないかなと思ってました。
でも今回飛び散る二階堂の残骸に繋がれた手が加筆されていたので、どうやら幻覚ではなかったようです。
もちろん 現実にはありえないことですが、二階堂ならなくもないかも・・・と思えちゃうから不思議。
戦隊ヒーローみたいな立ち方してる杉元も妙に芝居がかってて、泣いていいのか笑っていいのか、とにかく二階堂らしい最期でした。
この展開も初期の頃から野田先生の頭の中にあって、二階堂という緩急が絶妙な匙加減のキャラを作り上げていったのかな。
鯉登さんと鶴見さんの会話、最終話ありきの加筆がされたなと思いましたがどうでしょうか。
いろんな解釈があると思うし、この後もう一度鶴見さんと鯉登さんが言葉を交わす場があるので、そこが加筆されたらここの解釈がまた変わってくる可能性あります。
何度読み返してもよくわからないところもあり、しばらくしたら違う感想になるかもしれませんので、以下は話半分で聞いてください。
変更前の「鯉登少尉になら後を任せられる」ってセリフ、もちろん得意の甘い嘘だった可能性もありますが、私は鯉登さんには正直な気持ちを伝えたのかな、と思いました。
しかし今回、あくまで強気な鶴見さんに変わりましたね。
元のままでもありかなと思ったんですが、今後の展開を考えると、確かにここで鶴見さんの弱気な一面を見せちゃうのはちょっともったいない気もする。
奥さんと娘さんのことは心から愛していたと思うので、鶴見さんに愛がないと、私はあんまり思ってません。
宇佐美に対しても、まぁ宇佐美自身がちょっとアレなんで鶴見さんもそれを制御するのに苦労してたかもしれませんが、愛を持っていたと思うし、宇佐美もそれに満足していたように見えました。
だからここで鯉登さんの言う「嘘で試した人間の愛」というのは月島のことなのかなって思います。
もちろん自分たち親子も試されたわけですが、試されなくても鯉登さんは鶴見さんに愛があった。それは自分のことだから良くわかってる。
でも月島は、何度も愛を試された結果鶴見さんのそばにいると鯉登さんは思っています。
だから月島に、鶴見さんではなく、鶴見さんを信じる自分を信じてついてこいと言ったわけですが、そう言った手前、鯉登さんはあれからずっと鶴見さんが信頼に値する人物かどうか、見極めようとしていたと思います。
で、ここで最終確認。
鶴見さんが自分を信頼して「ちからになってくれ」と言ってくれたら例え行き先が地獄であろうと、月島と共についていく気だったのでしょう。
それが月島の望みでもあったし。
でも鶴見さんはそうは言ってくれませんでした。
がっかりした鯉登さん、薩摩弁で本心を漏らしましたが、鶴見さんへの盲目的なリスペクトは消え、早口ではなくなってしまいました。
鶴見さんに鯉登さんへの愛がなかったとは思いませんが、鯉登さんの理想とする愛とはちょっと違っていたのかもしれないですね。
鯉登さんは、月島のことを部下として、同志として、とても信頼し、大切に思っていると思います。
月島の目の前で鶴見さんに直球の質問をしたのも、月島に聞かせるため。
鶴見さんの言っていた、戦友に持つという「夫婦以上の強い恋愛関係」が、鯉登さんと月島の間にはあると思います。
私にBL脳があったら、ここは間違いなく鯉月の名シーンでした。
まっすぐな鯉登さんの姿に心打たれた様子の月島ですが、そう簡単に鶴見さんの呪縛は解けません。
つい鯉登さんについていこうとしてしまいますが、鶴見さんに呼び止められたら足を止めずにはいられない。
月島を呼び止める鶴見さん、ここでも「月島」ではなく「月島?」だし、「私の味方はもうお前だけになってしまったな?」と「?」付きです。
鯉登さんにここまではっきり言われても、やっぱり月島の愛を試してしまう鶴見さんなんですね・・・。
第296話「武士道」
五稜郭での戦いは、土方さんのために用意された舞台と聞きました。
刀と銃を操り、次々と敵を倒してく土方さんの華麗なこの戦いぶり、きっと野田先生がずっと描きたかったシーンだったんだと思います。
土方歳三ここにありと言わんばかりの見せ場が満載。
自分の漫画の主人公と歴史上の人物を背中を預けて共闘させるなんて、どんな気持ちなんだろう。
きっとめちゃくちゃテンション上がりますよね。
そんな野田先生の高揚した気持ちが伝わってくるような素晴らしい回です。
あ、すみません、野田先生がどう思っているかは、全部私の妄想です。
70歳オーバーのおじいさんとは思えない切れのある動きに見とれちゃった私ですが、過去の回想シーンが出てきたこともあり、この土方祭りが終わったら土方さん五稜郭で死んじゃうんじゃないかと心配でした。
戦況がイマイチよろしくないし、杉元の口から血がだーって流れてるのも怖かった。
最後の杉元が銃で馬上の兵士を殴るシーン、銃がしなっててすごい迫力ですね。
銃ってこんな使い方もあるんだ・・・とこの時思ったんですけど、その後これまでのお話を読み返したら、同じように鈍器として使ってる場面結構ありました。
撃ってよし、刺してよし、切ってよし、投げてよし、殴ってよし。
この銃ってもしかして白兵戦では最強の武器じゃないですか?
第297話「五稜郭脱出」
アシㇼパさんは白石に任せておけば大丈夫と思ってたんですが、離ればなれになってしまった上に、死んでいるトニさんを見つけてしまうわ、鶴見さんにはロックオンされるわ、アシㇼパさん大ピンチ。
それにしても、鶴見さんのこの走り方怖すぎでしょ!
もはや人外の生物です。
こんなん見たら夢に出てきそう。
新八さん、本当に口が悪いですねー。
人間歳を取ると自然といわゆる大人っぽい人になるのかなって思うじゃないですか。
でもこれが意外と変わらないもんなんですよね。
大人っぽいエレガントな人は若い時からエレガントだし、「粗野でガサツな人」は「歳を取った粗野でガサツな人」になります。
新八さんも、見た目は隠居したおじいさんみたいになりましたが、中身は血の気の多いガムシンのままですね。
第298話「ウイルクの娘」
新八さんの巧みな戦術と、圧倒的な強さに鯉登さんタジタジ。
こういうのって、本当に若さとか力じゃなくて経験値がものを言いますよね。
生き残りたち、若者に負けず劣らずかっこいい。
鶴見さんに追っかけられてたアシㇼパさんが倒れていた兵士に足をつかまれた時、もうだめだ・・・と思いましたが、馬に乗った王子様、杉元が登場!
1巻の、ヒグマの下から杉元がアシㇼパさんに引っ張り出してもらう時の手のつなぎ方がすごく印象的だったので、きっといつかどこかで同じつなぎ方をするだろうと勝手に期待してました。
結局最終話までなくて、そうかーないかーって思ってたら、ここにあった!
しかも今度はアシㇼパさんを杉元が救うという逆の構図。
あからさまな感じではないですが、きっとこれはあのシーンの再来に違いない!
(※あくまで個人の妄想です。でも見れてとても嬉しい!!)
しかしなんで連載中に気付かなかったんだろう。
多分この後出てくる谷垣がヒーローすぎたからだな、うん。
手下を指笛で呼ぶソフィア。
でも誰も来ない。
これがウイルクの言う「独りぼっちになってしまった革命家」なのでしょうか。
加筆された、ウイルクが真の革命家とはなんたるかを説くシーン。
ソフィアに向けての言葉ですが、今この場で戦う全ての人に向けての言葉のようにも思えます。
「愛のない革命家はただの殺人者」
先程の鯉登さんと鶴見さんの会話の加筆修正は、この言葉のためでもあったのでしょうか。
ところでウイルク、ここで子供だけは巻き込まないって言ってますね。
・・・だからウイルクの革命は成功せず、のっぺらぼうになっちゃったのかな。
常に自分で選択してきた道を進んできたソフィア。
それでも迷うことがあり、辛い思いもしてきたことでしょう。
最後にアシㇼパさんに伝えた「未来はあなたが選んで」。
加筆によって一層重みが増した気がしました。
ソフィアを撃つために銃を持ちかえる鶴見さん。
明らかに復讐の意図を感じます。
そしてこの不穏なトーンの貼られた笑顔。
復讐の機会を得たことに対する歓喜の笑顔なのかなぁ・・・悲しい。
第299話「許し」
谷垣とインカラマッちゃんは買い出しにでも来てたのでしょうか。
娘の髪が剛毛すぎてついそれに目がいっちゃいますが、髪の毛の多い赤ちゃんってこの時期は大体スーパーサイヤ人みたいです。
せっかく平和に暮らしてる谷垣がこの戦いに首を突っ込んで大丈夫かしらと思いましたが、インカラマッちゃんが行けと言うなら行きましょう。
野田先生の描かれる女性はみんな強くて美しいですね。
許すって言ったそばからソフィアにとどめを刺した鶴見さんに、もうなんなのよ!と思ってよく見たら写真のウイルクが穴だらけ。
鶴見さんはどうしてもウイルクが許せないんですね。
キミのことは許すと言われたソフィアは、救われたのかしら。
ひとつ決着をつけた鶴見さん。
しかしこれどういう表情ですかね?
喜んでるのかやりきれないのかウイルクへの憎しみが再燃したのか。
・・・鶴見さんって本当によくわかんないんですよね。
五稜郭を脱出した一行がこの後どうなるのか、尾形がなにをするつもりなのか気にはなりましたが、最後のページの尾形の顔が良すぎて全部持っていかれました。
この尾形、色っぽすぎません?
第300話「再延長戦」
尾形対ヴァシリ。
全体的にボリュームアップしてますが、残念ながらヴァシリは出てきませんでした。
本誌を読んだ時は生きてるだろうな、と思ってたんですが、この後いろんな死の場面に立ち会い、あの墓標のように見えた銃はやはりヴァシリの死を表していたのだろうか・・・と結局最後までそれに確信は持てませんでした。
ここで尾形が撃ったのは左の腕一本分下の位置。
これが右手でなくて本当に良かったです。
ここへきて、色々な表情を見せてくれた尾形。
若干陶酔気味ではありますが、自分を信じることは大事です。
片眼を失ってもなお、一流の狙撃手であることを証明して見せた尾形百之助の集大成な回でした。
第301話「第二陣」
戦いの場はしづか号に移ります。
五稜郭もでしたが、ここから描かれる列車内の描写もすごくないですか?
しかもこんなにたくさんの兵士。
週間連載でこのクオリティ、野田先生の身体が心配になっちゃいました。
この展開は最初から考えられていたようなので、もしかしたらずっと以前から準備されていたのかもしれないですけど、それにしたって大変であることに違いはない。
この描き込まれた素晴らしい作画により、牛山さんの戦車のごときパワーみなぎる攻撃力がガンガン伝わってきます。
撃たれた瞬間アシリパさんたちに被害が及ばないようにドアを閉める谷垣が男前。
そしてすぐにそのドアを抑える白石もさすが。
ここで谷垣は退場してしまいましたが、谷垣だから死ぬことはないでしょう。
それより窓から覗いてくる鶴見さんがもう怖くて怖くて。
おでこでガラス割るし、銃剣で刺された手は自分で引きちぎっちゃうし、なりふりかまわないテンションMAXな様子は、ただただ恐怖。
三人のチームワークでなんとかやり過ごしましたが、杉元のこの鎖骨辺りを撃たれたのは、大丈夫だったのかな・・・。
牛山さんの神話になる宣言は、これ自体が後世に語り継がれるべき名セリフですね。
第302話「車内暴力」
この回も結構手が加えられていますが・・・うーん、月島軍曹、私は黒目がちなのも好きだったんだけどなぁ。
戦闘向きではなかったのかしら。
ウイルクが革命家に必要だという「自分のためでなく人のため」という精神、これを土方さんは「武士道」と表現してますね。
杉元のお父さんがおせっかいだったというエピソードがあったかどうかちょっと思い出せないんですが、息子が言うならそうだったんでしょう。
アシㇼパさんとアイヌの権利書を守るために逃げずに戦うと宣言した杉元。
この言葉は、アシㇼパさん覚醒のひとつのきっかけになったと思います。
アシㇼパさんは、杉元が梅ちゃんの目の治療費のために相棒として自分に協力してくれていることを知っていました。
金塊が見つかって杉元自身の目的は達成される目処がついたのに、それでもなお自分のために命懸けで戦ってくれる杉元のこの言葉に、心打たれないわけがない。
杉元も、始まりは人助け(寅次の遺言と梅ちゃんのため)だったけど、今はアシㇼパさん(と権利書)のために命をかけて戦っていると自覚している。
土方さんがふたりで森にでも逃げろって言ったのもなんか杉リパを応援してくれてるみたいに思えて、戦いの最中に不謹慎なのは重々承知してますが、杉元からの愛の告白あり、祝福ありのすごい杉リパ回じゃん・・・!って思ってしまいました。
尾形が機関士さんたちを殺さない描写に変更されましたね。
しかも笑みを浮かべての「ご降車くださ~い」って!
「ー」じゃなくて「~」ですよ。
ヴァシリとの戦いを制してテンション上がっちゃったのか、心に余裕ができたのか。
これまでバンバン人を殺してきた尾形がここで無用な殺生はしないよう変更されたのには、なにか意図があるんでしょうか。
あ、機関士さんたちは非戦闘員だからかな?
31巻、どうなるんですかね。
着地点は同じでも、今回みたいな印象の変わる加筆はありそうですね。
最終巻かぁ・・・悲しい。
本編に組み込めなかったエピソードいっぱいあると思うので、ファンブックまた出してほしいです!
298話くらいから感想もどきをボチボチ書いてたんですが、完全なる自分メモで内容は薄いです。
自分が単行本派だったこともあり、このブログにネタバレ書くのをどうしようか迷ってたんですよね。
結局毎週の更新を受け止めきれず、気持ちを整理するために書かずにはおれなくなってしまいましたが・・・。
今回も長々とした妄想話にお付き合いいただきましてありがとうございました。
31巻(最終巻)の感想
連載当時に書いてた第303話~の感想。
今読むと見当外れも甚だしいですが、一応リンク貼っておきます。
29巻の感想