ゴールデンカムイだらけ

ゴールデンカムイにおける自分的萌えポイントを書いたり描いたりする二次創作ブログです。

アニメゴールデンカムイ第四十二話「甘い嘘」 感想

第四期第六話。

鶴見陣営と土方陣営の思惑が交錯する回。

このあたり、時間軸も前後するし大人の駆け引きが複雑すぎて初めて読んだ時はよくわからず、何度も読み返しました。

ひと癖もふた癖もある大人たちに翻弄される有古が気の毒で仕方ない。

 

以下ネタバレ含みますのでたたみます。

 

 

冒頭から宇佐美が近い。

でもここは原作くらい、もっと近くても良かったと思います。

宇佐美はヤバければヤバいほどイイ。

そう思う自分がヤバい。

 

情報将校鶴見中尉の本領発揮。

「刺青人皮が一枚でも欠ければ金塊は永遠に見つからない可能性がある」と言ってますが、そんなこと全然思ってなさそう。

有古にこの言葉を聞かせたのは、土方さんにそう思ってほしいからか「鶴見さんはそう考えている」と思わせたいからか。

それか有古自身に「盗むならこの刺青人皮全部持って行かないと意味がないぞ」と言いたかったのか。

鶴見さんの猫なで声、その本心を知らなければ素直に労いの言葉として受け取れるのだろうか。

いや、無理だな。怖すぎる!

 

妙にリアルな新月の夜、トニさんが有古を迎えに来ました。

あんなにドラマチックに雪崩に飲み込まれたのに、トニさん生きてた!

トニさん死んじゃった(と思った)時、自分でもびっくりするくらいショックでした。

死んでからそのキャラが好きだったことに気付くっていうゴールデンカムイあるある。

トニさんって初出の時は復讐心に燃えた不気味な人ってイメージでしたが、アシㇼパさんに諭されて考え方が変わったのか、犬童典獄への復讐を遂げたからか、なんか人間が丸くなった気がします。

本人はいたって真面目なんだろうけど、たまにお茶目でユーモラス、そしてちょっと詰めが甘いところも人間味があっていい。

集音の為に着けてる耳がケモミミみたいだし、首を傾けるしぐさもゆるキャラっぽくて、こんなこと言ったら失礼ですけどちょっとカワイイ。

トレードマークのスカーフ、菊田さんの手に渡ってしまったのに今回違う柄のやつ巻いてました。

唯一無二の一枚かと思ってたら、ちゃんと洗い替え持ってたんだ。

 

有古の名前をアイヌ語で呼ぶ土方さん。

アイヌの発音だと「イポㇷ゚テ」の「ㇷ゚」ってほぼ破裂音しかないんですね。「イポッテ」って聞こえます。

一方の鶴見さんは「イポプテ」と正しく発音していない。

こういう細かいところでも、「土方さんはアイヌに理解があり、鶴見さんはない」ってことを表現しているんだなぁと思いつつ原作を改めて読んだら、ちゃんとそのように表記されていました。

正確に再現したアニメスタッフや声優さんもすごいですが、やっぱり野田先生がすごかった。

アニメ化のおかげで、またしても新たな気付きを得られました。

 

家族の名前を出しながら脅す鶴見さんのやり口、カタギとは思えません。

「必死に奪ってきた『感じ』が、ほしいよなぁ?」っていう言い方、神でした。

最近芳忠さんの声が全部鶴見さんに聞こえます。

そしてここでもやっぱり宇佐美の様子がおかしい。

昨夜も鶴見さんの入浴シーンを覗いていたし、有古にもいきなり噛みつくし。

喧嘩ってしないからわかんないですけど、頭突きって手が使えない時の攻撃方法じゃないんですか?

自分もそこそこダメージありそうだから私だったらあんまり使いたくない一手ですが、宇佐美は初手から使ってますね。

宇佐美って戦い方も独特です。

 

有古のケガの状況から体力が持つか心配しつつ先導していたトニさんでしたが、いつの間にか順番が入れ替わり、最後はもはやお荷物と化してしまいました。

このお歳で一昼夜歩きどおし、そりゃ疲れますよ。

有古の顔が段々腫れてきてる気がするんだけど、こうやって時間の経過を表しているのかな。

あんなにボコボコにされたのに強い意思を持って歩き続けられる有古を見ると、八甲田山で捜索隊として活躍したというのも納得です。

 

今回鶴見さんの悪い面が前面に押し出されていましたが、それに負けず劣らず土方さんも悪い。

まぁ土方さんも心中穏やかではないと思います。

刺青がそこそこ揃ってきている状況で、杉元の手持ちの刺青人皮は全部鶴見さんに取られちゃいましたからね。

トニさんを危険を承知で潜入させたり、悪いと言いつつも有古を利用したり。

登場して早々両勢力に翻弄される有古が不憫でならない。

これは全くの私見ですが、もしかして有古は理不尽な扱いを受けてきたアイヌを象徴しているのではないかと思ったりしました。(多分気のせいです。)

ところで土方さんたちの待機小屋、有古が座ってるシーンの背景とか妙に画像がリアルなんですけど、これって写真なのかな?

 

この辺から誰がどの刺青人皮を持っているのかわかんなくなってきて、実は原作読んでる時は、有古が持って行った皮は誰のだったっけ?ってなってました。

第四期が制作されることは結構前から決まっていたようなので、あんまり間空いちゃうとわかんなくなっちゃう視聴者(私)が出ることを危惧して関谷のエピソードを第四期に持ってきてくれたのかもしれません。

 

関谷の刺青人皮を有古に持たせたら鶴見さんが写しを取ることはわかっていたけど、それと引き換えであったとしても土方さんは偽物の刺青人皮がほしかった。

鶴見さんは土方さんが自分より先に暗号を解くことを警戒し、有古をスパイとして送りこんだ。

それぞれが着々と暗号解読に駒を進める中、ここはやはりアシㇼパさんを手中に収めた方がぐっと有利になりそうですね。

 

くしゃくしゃになってるリュウがかわいい。

ヘンケの先頭犬がリュウをライバル視して「フン!」ってしてますけど、犬ってこういう顔しますよね。

野田先生の描く動物って、リアルだけどちゃんと表情があるからすごい。

あ、この「ありがとうな」は鯉登さんが言ってたんですね!

私は白石あたりが言ってるのかと思ってました。

鯉登さんがこうやってお礼言うの、なんか意外でした。(失礼!)

 

エノノカちゃんってめちゃくちゃかわいくないですか?

アシㇼパさんもだけど、エノノカちゃんも相当な美人さんだと思います。

かわいいのに今回ちょっと作画がアレだったのが残念でした。

原作では泣き顔もかわいいエノノカちゃんです。

 

そしてチカパシとの別れ。

前話のシネマトグラフで撮った「ケソラㇷ゚の身の上話」。

これ、チカパシを登場させた時から野田先生が描こうと思っていた物語なのかなと思って観てたんですが、もしかしたら「ケソラㇷ゚」の話があったからチカパシというキャラクターが生まれたのかもしれません。

いずれにしてもこの話はずっと以前から先生の頭の中にあったんだろうなぁ。

じゃなかったらあまりにも出来過ぎている!

 

谷垣本当にいい人・・・。

谷垣もチカパシとずっと一緒にいたいと思っていたはず。

でもチカパシのために別れを決意します。

感動的なこのシーンですが、谷垣の「勃起だ!」は、杉元でいうところの「俺は不死身の杉元だ!」なので、もう少し決め台詞感のある作画でも良かったかも・・・。

ヘンケの笑顔がとてもあたたかい。

チカパシにはエノノカと一緒に幸せになってもらいたいですね。

 

とうとう鯉登さんが鶴見さんの甘い嘘に疑いを持ちはじめました。

聞いておきたいことがあると鯉登さんに言われて「はい」と答える月島。

この言い方、すっごくイイ!(我ながらマニアック!)

そして竹本さん渾身の「あなたたちは救われたじゃないですか」。

しらを切り通すこともできたと思うんですけどね、でもそうしたら鯉登さんは鶴見さんに直接疑問をぶつけてしまう。

月島はいつから鯉登さんのことこんなに大事になっちゃったんでしょう。

 

自分の人生に価値がないという月島が悲しい。

でもなにかとんでもないことを成し遂げるのは鶴見さんみたいな人っていうのは、わかる気がします。

とんでもないことっていうのは、みんなが想像もしないことだったり、聞いてないよ!って思うこと。

もちろん実現が難しそうなことを成し遂げちゃうのも「とんでもないこと」です。

鶴見さんが掲げる「軍事政権の樹立」「第七師団の地位向上」「満州を日本の国土にする」計画はそれにあたると思うんですけど、月島はさらにその向こう側にある「とんでもないこと」つまり「考えもしなかったこと」を観たいと思っているんじゃないかな。

とにかく鶴見さんってミステリアスで魅力的。

私はクリエイティブな人間ではないので、鶴見さんみたいな人が身近にいたらきっと憧れを持ってついて行きます。私も鶴見劇場観てみたい。

ちなみに私と相性の良いキャラは月島でした。共感しかない!

trybuzz.com

 

月島と鯉登さんにとって大事なシーンでしたが、月島がたまに「誰?」って顔になっちゃってましたね。

そしてここで「鹿児島で偶然出会ったのも仕込みってことか」と鯉登さん言ってるじゃないですか!

ボンボン回のアニメ観てやっと気付いた私、全然読み込みが足りてないぞ!

 

鶴見さんってどんな人かな、ちゃんとアイヌのこと考えてくれるのかなって心配しているアシㇼパさん。

杉元は鶴見さんが信用できる人間だとは思ってないけど、アシㇼパさんを金塊争奪戦から解放するにはこれしか方法がない。

アシㇼパさんの「アイヌはどうなる」という質問に「交渉すればなんとかなる」とアニメでは結構自信ありげに答えてましたが、原作の杉元の目は完全に泳いでました。

こんな杉元なかなか見れないですからね、ここは原作みたいにバツが悪そうにしてる方が良かったんじゃないかなと思うんですけどどうでしょう。

 

「鶴見中尉がアイヌのことを考えてくれてると本気で思っているのか」っていう白石の言葉で目が覚めた杉元。

ここでやっと自分の視点からしか物事を見れていなかったことに気付いたようです。

それにしても、これまで自分本位な言動しかせず厄介なことからは逃げていた白石が他人にこんなに深く踏み込んだ発言をするなんて。

金塊を見つけるためには杉元の協力が必要だってのもあっただろうけど、アシㇼパさんを想うあまり迷走する杉元を見ていられなかったんじゃないかなぁ。

杉元より少し客観的に見れている分、この時すでにアシㇼパさんのことを「あの子」じゃなくて「彼女」と呼び、一緒に旅をする中で見せたアシㇼパさんの成長を認め、ひとりの人間として尊重している白石。

杉元がアシㇼパさん至上主義なのは周知の事実ですが、白石だってアシㇼパさんのことを大切に思っているし、同時に彼女の幸せも願っている。

キロちゃんの遺志もちゃんと汲んでくれていて、白石もこの島に来てずいぶん変わりました。

 

とにかくここで白石が意見してくれて良かった。

杉元すぐ殺しますからね、白石も酒の力を借りないと怖くて説教できなかったのかもですが、もしかしたらこれを素面で言わせるのは野田先生が照れ臭かったのかな?なんて思いました。

杉元は、自分との約束を守ってアシㇼパさんとずっと一緒にいてくれた白石の言葉、酔っぱらいの戯れ言とは思えなかったと思います。

これを言ったのが谷垣とかじゃなくて白石ってのが、またいいんですよね!

 

原作も良かったですが、アニメ、すごく良かったです。

白石の気持ちが行間から溢れていました。

伊藤さん、連載を読んでいる時からどう演じるか、それこそ年単位でずっと考えていたんじゃないでしょうか。

ゴールデンカムイって、声優さんたちのキャラに対する理解度と愛が半端ない。

第四期に入って、それを特に顕著に感じます。

 

ボンボン回でも書きましたが、私はこのエンディングテーマが流れる中で物語が進んでいく演出に弱いんですよ。

条件反射的に胸アツになってしまう。

白石が男を見せるかっこいいシーン、色々な引き算要素はありましたが、圧倒的に感動的でした。

これが名場面集に含まれてないなんて、本当に野田先生ってシャイですね。

でもそんなところも大好きです。

 

次回、いよいよ鶴見さんと対峙します。

 

 

第四十三話からの放送が延期されることになりました。

待つのは全然いいんです。

それよりなにより、ご本人の無念を思うといたたまれない。

正直全く他人事には思えなかったです。

ご本人が完成した作品を観る方法ってないのだろうか。

謹んでお悔やみ申し上げます。

 

 

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