第四期第八話「ヒグマ男」。
以下ネタバレを含みますのでたたみます。
※アニメまたは原作をご覧になってからお進みください!
冒頭で人を襲う黒いかたまり、足跡がクマですね。
追いかけてるのはクマだから当然なんですけど、なんか違和感あるなーって確認したら、やっぱり原作に足跡の描写はありませんでした。
この後の展開を考えると、この足跡・・・いる?
みんな無事に北海道に帰ってこれて本当に良かった。
でもスポンサー(土方さんや鯉登さん)もいないし、刺青人皮の手持ちはゼロという圧倒的に不利な状況です。
立ち寄ったコタンで1日50円稼げる可能性のある砂金取りの話を聞き、ギラギラスイッチが入る杉元と白石。
とヴァシリ。
言葉はわからないはずなのに身を乗り出しちゃったのは、ふたりのただならぬ様子からなにかを感じ取ったからかもしれません。
石田さんの平太師匠、これは・・・辺見?
ソフトな声質が似てるけど、なんだか不穏な空気を感じます。
え、なんですか、この杉元の嘘くさい笑顔は!
「これまで出会った砂金掘り師はクズだった」って話してた顔で砂金採りに来た自分たちのことを語るから、めっちゃインチキくさい顔になっとるではないですか。
これは原作を読んでるからそう思うだけで、アニメが初見だったら気にならないのでしょうか?
極力フラットな気持ちで何回か見返してみましたが、うーん・・・わからん。
ノリ子姉ちゃんの声、かわいいですね。
原作より若くて健全な感じがします。
原作のノリ子姉ちゃんは美人なんだかそうでないんだかわかんないけど妖しい魅力があって色っぽかったので、私はもっと低めのしっとりした声をイメージしてました。
こういう女性って素敵ですよね・・・自分が男だったら騙される自信ある。
ノリ子姉ちゃんみたいな大人になれる未来もあったはずなのに、どこで道を間違えたのやら。
杉元一行の関係性を聞かれ、白石がちょっと照れながらも「仲間」って言ったのに、杉元ったら「烏合の衆」とか言っちゃって。
最初照れ隠しかなって思ったんですけど、もしかしたら杉元は本当にそう思っていたのかもしれません。
白石はこの時はもう言葉通りふたりのことを「仲間」だと思ってたと思います。
ここからの白石の行動は、仲間以外の何ものでもないですからね!
どこ掘ったらいいか教えてって率直に聞く杉元。
媚びるでもなく卑屈でもなく、自然と教えてあげたくなっちゃう素敵な聞き方。
原作のこのコマは、私的には作中1、2を争う「杉元の誠実さが感じられるポイント」です。
これがあるからさっきの笑顔が余計胡散臭く見えるんだよなぁ・・・。
白石の「ヘブン」が聞けて嬉しい。
そして普通に勉強になる砂白金の話。
砂白金ってプラチナのことだと思ってたんですけど、調べたら違いました。
ざっくり言うと「プラチナ入り合金(めっちゃ硬い)」らしい。
100%のオレンジジュースと思って飲んだら果汁3%だった、みたいな感じですね。(あくまで個人の解釈です。)
平太師匠から発せられた「ゴールドラッシュ」という言葉に心をわしづかみにされちゃった杉元と白石。
せっかく平太師匠(石田さん)が盛り上げてくれたんだから、ズキュゥゥンは無理でも、原作くらい、手をもっとギュッと握り合ってほしかったなぁ。
この杉元たちの姿が愚かであればあるほど「金には人を狂わせる魔力がある」という言葉に説得力が生まれると思うんですよね。
だからアシㇼパさんはふたりをもっと蔑んだ目で見てくれていいんですよ!
原作より繊細な画風のヴァシリのチャクチャクカムイ。
ヴァシリの頭巾って、てっぺんが折れてないと結構長いんですね。
でもこれはいくらなんでも長すぎかな?
ヴァシリはノリ子姉ちゃんに誘われるままに小屋についていきますが、これ実際は平太師匠なので下心があったわけではなさそうです。(可能性はゼロじゃないけど。)
自分を描いてほしいと言われたことはわかったみたいだから、絵描きとしてリクエストに応えたいと思ったのか、ちょっと様子の違う平太師匠に興味がわいたのか。
ちなみに原作では着物を脱いだノリ子姉ちゃんを見てもっと顕著にヴァシリのお絵描きスイッチが入りますが、これは「裸」じゃなくて「刺青」に興奮したからかなと思います。
刺青を見たのが初めてってことはないだろうけど、ロシア人のヴァシリには漢字が新鮮な文様に映っただろうし、この刺青人皮、デザイン性が高いから「描きたい!」って思ったんじゃないかしら。
着替え中の白石にも刺青があることを知り、描かずにはおれないヴァシリ。
平太師匠も心配だけど、人食いヒグマがいるかもしれないのにアシㇼパさんをひとりで探しに行かせるの危険な気がする。
でも、そのおかげでヴァシリはアマッポにかからずに済みました。
何の前触れもなく背後から飛び蹴りを食らったのにもかかわらず、ノーリアクション。
そんなヴァシリのアイデンティティがこの頭巾。
なのに頭巾、全然ずれてない・・・!
これではヴァシリの魅力が伝わらない!!!
氷上でのグーンッがなかった今、ぜひここは原作くらいひんまがっていてほしかったです。
「ヒグマがいたはずなのにクマの足跡が見つからない」。
つまり人間の足跡しかないってのがザワザワポイントなので、やっぱり冒頭のクマの足跡の描写はない方が良かったと思うんですけど・・・。
でも私が気付いてない理由があるのかもしれない(よくあるパターン)。
そして衝撃の種明かし。
なんだけど、アニメのヴァシリの画風が野田ヴァシリと違い過ぎる!!
「アニメのヴァシリはこういう絵を描きます」と言われていたならわかるんですが、杉元とのお絵描き対決で見た尾形たちは野田ヴァシリで描かれていました。
荒削りなタッチで描かれた、眼の焦点の合ってない平太師匠の笑顔、全裸、セクシーなポーズ、全身に彫られた刺青。
このちぐはぐな感じがたまらなく不気味で、平太師匠がヤバいやつだと一目でわかる大事なカットなのに「よいこのゴールデンカムイぬりえ」に見えて仕方ない。
ここは原作の絵をそのまま持ってきても良かったのではなかろうか?
石田さんが平太一家全員の声を聞かせてくれました。
そうそう、私のイメージしてたノリ子姉ちゃんの声ってこういう声です!
せっかくだから最初から全員石田さんがやってくれたらなって思ったんですけど、そうするとネタバレになっちゃうかー。
悩ましい・・・。
平太師匠の囚人時代のエピソードが門倉さんによって明かされます。
門倉さんの「気持ち悪かったなー!」って言い方が秀逸すぎる。
偏見とか悪意とか一切感じさせない、ただの感想。
安原さんってすごいですね。
そして今日のキラウシはとってもイケメンでした。
杉元対ヒグマ男。
人間の潜在能力が100%解放された平太師匠に杉元大苦戦。
しかし例え相手が師匠であっても、自分が殺されるくらいなら躊躇なく殺しにいくのが不死身の杉元です。
以前もちょこっと書きましたが、私は杉元がこうやって足を使って戦うの、かっこよくて大好きなんです。
アマッポが刺さる描写、すごかった。
わかってるのに、つい「あっ!」って言っちゃった。
残りわずかとなっている新たな刺青人皮を手に入れた杉元たち。
白石は網走監獄で平太師匠に会ったことなかったみたいですね。
毎度のことではありますが、杉元たちって刺青の囚人に対する偏見がゼロ。
平太師匠の告白を聞いた後も「金塊の取り方を教えてくれた師匠」という評価を変えませんでした。
「短所もあるけど長所もある」じゃなくてそもそも「長所」しか見てないのかも。
「ヒグマ男」は、「こういう話もたまにはいいでしょ」という野田劇場かと思いきや、「金には人を惑わす力がある」、「伝えるだけじゃなく正確さも必要だ」ということを杉元たちと読者(私)に再確認させるためのお話でした。
物語の特異性と平太師匠のキャラの濃さに目がいきがちですが、今回のアニメがそれを思い出させてくれました。
最初は辺見かな?と思った石田さんの平太師匠、すごく良かったです。
辺見も平太師匠も杉元が本当の自分に向き合ってくれたことに感謝していましたが、自分を肯定していた辺見と、否定していた平太師匠は、真逆のタイプだったように思います。
そういう平太師匠の繊細な部分を丁寧に表現されていて、特に師匠の闇と苦悩が明かされる後半は完全に石田ワールドでした。
惜しむらくは、石田さんの平太師匠に今回の作画は合ってなかったように思えたことでしょうか。(あくまで私見。)
アニメ第三期みたいな映像だったらまたちょっと印象違っていたかも・・・。
今回感想を書いていて、私がいかにこのお話に自分勝手なイメージとたくさんのこだわりを持っていたかがわかりました。
「ヒグマ男」はアニメ化を楽しみにしていたお話のひとつでしたが、想い入れが強すぎるのも考えもの。
この話を読むと、私はいつもヒッチコック劇場(めちゃ昔に放送していた30分のテレビ番組)を思い出します。
今でいう「世にも奇妙な物語」的な番組で、中には今回の「ヒグマ男」みたいな話もあった気がする。
映像がデジタルリマスター版だったからか、昔の記憶だからか、色とかあんまり鮮明じゃないのが物語の不気味さと不思議さに拍車をかけていました。
その印象が強くて、原作を読みながら脳内のイメージをこれに寄せていたのかもしれません。
感想を書くためにリピートしてたら、かわいい声のノリ子姉ちゃんもいいじゃないと思えてきました。
せっかくアニメ化してくれたのに、独りよがりなフィルタ越しに観るのはもったいない。
今回はいつにも増して自分基準が過ぎました。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
次回は「共犯」。
とうとうきました宇佐美回。
宇佐美少年は松岡さんがやってくれるんですよね?
あれを地上波で観れる日が来るとは・・・期待しすぎず期待してます!
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