ゴールデンカムイ第312話「分け前」。
本誌の内容にふれているのでたたみます。
和泉守兼定に続いて、金塊の使い方も独特な今回。
そして前回謎だったことが解けた回。
ざっくりとしたあらすじ
鶴見さんの「菊田が『最後に言った』ノラ坊とはお前のことかな」というセリフで、菊田さんが死んだことを悟った杉元。
逆上して鶴見さんに襲いかかりますが、鶴見さんの機転で銃は使用不能に。
一方車内に残った新八さんは、土方さんと共にこの戦いから降りることを宣言します。
列車を止めて杉元たちを走って追いかける白石の元に、馬に乗った谷垣がかけつけます。(谷垣やっぱり生きてた!)
国力を上げるには満州が必要と考える鶴見中尉は、それを邪魔する中央を黙らせるためにどうしても権利書がほしい。金塊はいらないから自分を見逃すよう説得してきます。
しかしそれをきっぱりと断るふたり。
隠していた拳銃を向ける鶴見さんに、杉元はポケットに入れていた金塊を放ち目をくらませ、和泉守兼定をふるいます。
先週の重大発表で残り3話と聞いて、心穏やかでない日々を過ごしつつ更新を迎えました。
3話って、どのくらい話進むもんなの?と過去回を3話単位で振り返り、結構内容濃いなぁ・・・最終回はページ数増えたりするかもだからさらにボリューム増えるかな?とか考えちゃったりして。
単行本化する時に加筆するにしたって、完結はしないといけないから最後の1話は色々たたむのに使うとする。
となると鶴見さんは今回死んじゃうのかな、鶴見さんは最終的には死んじゃうだろうけど、ただでは死ななそうだから杉元を道連れにとか・・・え、まさかアシㇼパさんも一緒に、なんてことないよね?!
と、もう悪い想像し始めたら止まらない。
とにかく最悪の展開を想定して臨んだ312話でしたが、なんか・・・胸アツな展開でした。
鶴見さん、この前の記事で描いてめちゃめちゃ好きになっちゃったのにかなりピンチで辛いんですけど、それよりなにより、スピード感ある展開に圧倒されてしまいました。
読み手による伏線回収
伏線が回収される時って、その場面が再び描写されたりしますよね。
今回もそういう描写もちろんちょっとありますけど、鎖デスマッチだったり白石の走りだったりは、紙面に描かれてなくても読者が脳内でページめくったと思います。あ、これあのシーンの再来だ、と。
伏線回収を見せられるんじゃなくて、読んでる自分が行間を埋めて紙面を一緒に作っていく感覚。
こうやって全てを語らなくても思いをひとつにして物語を楽しめるのは、ひとえに野田先生のお力あってこそ。
野田先生が一緒に最後を迎えたいからと太っ腹なことをされたのは、こういう感覚を味わってほしかったからかなぁ。
うまく言えないですけど、自ら感動を作り出しているような、内から湧き上がるこの感じ。
じわじわきました。
ノラ坊杉元佐一対鶴見さん
帝国ホテルで杉元の顔を見た上で勇作さんじゃないと判断した鶴見さんでしたが、あんなに派手にやりあった替え玉が不死身の杉元とつながらなかったとは。
これはやっぱり蕎麦屋の立ちまわりで不死身の杉元とピンときたと言ってたのははったりだった可能性高いな・・・。
以前ろうそくぼりぼりしちゃうぞって杉元のことを脅してましたが、直でぼりぼりしちゃう鶴見さん。
ボロボロのほっぺたの皮嚙むからべローンてなっちゃったじゃないですか!
確かにつるっとしてるほっぺたより噛みやすそうですが、あんま嚙みたくはないかな・・・。
めちゃ近いふたりですが、今回はBLスイッチ押されませんでした。
今のところ、ですけど。(もう自分がわからない・・・)
やっぱり接近戦は杉元強いですね。
でもここで第七師団秘伝?のボルト抜きです。
これ尾形もよくやってましたが、多分鶴見さんにやられたことあるんでしょうね。
尾形そういうとこある気がする。
ところでボルトってこんなすっと抜けるもんなんですかね?
そんな構造で、持ち歩いてる時になにかの拍子に落っこっちゃったりはしないのかしら。
使い物にならなくなった銃を捨て、和泉守兼定を抜く杉元です。
夏太郎の涙
土方さんの亡骸を背負って列車を降りようとする新八さん。
遺体をさらしたくないって気持ち、なんかわかる気がします。
身体は動かなくなってしまったけど、その意思がなくなったわけではない。
函館戦争の後も生きていた土方さんを知っている人の手で葬ってほしい。
夏太郎はそのお墓の近くに羊牧場作って代々弔ってあげて。
こうやって涙を流す人、ゴールデンカムイにはあんまいないから夏太郎みたいなキャラ本当に貴重ですね。
夏太郎の涙にいつももらい泣きしちゃいます。
もうひとりの相棒
あと3話と聞いて、ああもう白石出てこないのかなって思ってたんです。
そしたらこんなに必死に追いかけてきて。
走ったって追いつける速さじゃないのに。
仮に追いついたとしても戦力にはならないし、命の危険しかない。
それなのになんで白石は追っかけてきたのか。
樺太では、杉元に頼まれたから、という気持ちがあったようですが、今回は違います。
これまでどこか計算高く行動してきた白石でしたが、今は損得勘定ではなく、ただ一緒にいたいから追いかけてきた。
白石も相棒なんだなとグッときてしまいました。
そしてここで谷垣登場!
五稜郭に続いて、また声出ちゃいましたよ。「谷垣生きてた!」
お腹撃たれたかなって思ってたんですが、多分大事な臓器はそれてて、しかも貫通したから良かったんでしょうね。いや良くはないですけど。
杉元の金塊への執着
前にちょっと書いたかもですが、白石は袋のひとつかふたつ、どっかに隠してるんじゃないかとにらんでました。白石の半纏、隠すところいっぱいありそうだし。
それがまさか杉元が・・・ねぇ?
前回、アシㇼパさんの告白になんでこんな微妙な顔してるのかしらと不思議でしたが、謎が解けました。
アシㇼパさんがあんな顔してあきらめてくれって言ってるのに、やべー俺持ってきちゃったわ・・・ってなってたら、そりゃ即答はできないですよね。
全くすっかり騙されました。
でもですね、私は杉元のこういう一面見れて良かったなって思ってます。
杉元は鶴見さんにもきっちり分け前を要求したり、平太師匠の砂金にも白石に負けず劣らず目の色を変えてました。
金塊というワードには常にギラギラしてたし、そもそも金塊を求めてアシㇼパさんと組むことにしたんだから、執着して当然です。
まぁ執着っていうとちょっと聞こえ悪いですけど、一人の男として、やっぱりでっかい夢を追いかけたいってのはあったと思うんですよね。
もちろん梅ちゃんの治療費というのはずっと頭にあったと思います。
でもそれは梅ちゃんが好きだからというより、死んだ親友の頼みだから、というのが大きいんじゃないかなぁ。
やっぱり死んだ人の頼みって絶対じゃないですか。
本人の無念は痛いほどわかっているわけだし。
回想場面にもありましたが、五稜郭が攻撃され、生きてこの金塊を拝めないかもしれない。
そう思ったら保険をかけるのは当たり前っちゃあ当たり前。
私もあの場にいたら絶対そうしてました。
金塊ふたつかみがどのくらいの価値かわかりませんが、治療費全額分もらっとこうというより、お守りか、またここに戻るぞという心の拠り所みたいな感じでポケットに入れたのかもしれませんね。
あるかどうかわからないものをずっと追い求めていて、それを目の当たりにしたとしても、次の瞬間には「夢だったかな?」って思っちゃうじゃないですか。
そんな時、一部でもそれを手に持っていたら、あ、やっぱり現実なんだ、と思えますよね。
でもポケットに入れる前、めちゃめちゃ汗かいてるの、やっぱりちょっと後ろめたい気持ちがあったのかな?
私は妄想過多なので盲目的にアシㇼパさんラブな杉元に傾きがちなんですけど、こういうしたたかというか、谷垣言うところの「合理的」なところ、あった方がいいと思います。
杉元とってもイイ男ですけど、それだけじゃつまんないですからね。
鎖デスマッチ再び
和泉守兼定を構え、金塊で目くらましをする杉元。
ここで土方さんと犬堂典獄の戦いが再現されるなんて、誰が予想したでしょうか?
いやもう野田先生どこまで計算してここまで描いてらしたの。
この戦い、杉元は見てないはずだからなんだろう、魂の継承?
そしてとうとう鶴見さんの目にハイライトが入りましたが、内なる光でその瞳が輝くことはなく、外からの反射光であることに、一抹の悲しさを感じてしまいました・・・。
しかし金塊の分け前をこんな風に使うとは。
ゴールデンカムイの皆さん、本当に持てるものを全部使って全力で戦いますよね。
生命力がただただ眩しい。
人殺すシーンでこんなキラキラさせること、ある?
杉元に斬られた鶴見さん、まだこっちに銃口向けてるから最後に一発撃ってきたら来週ヤバくない?って思ったんですけど、よく見たら飯盒に穴空いてますね。
これは斬られた瞬間に放った一発を外したって考えていいんでしょうか?
飯盒に当たった銃弾が後ろにいるアシㇼパさんに当たるとかないよねって確認したら、アシㇼパさん反対側の側面にいた・・・良かった!
杉元やアシㇼパさんが死んじゃったらどうしようと気が気じゃない心配性です。
最後まで気が抜けない!!
あ、今回の杉元めちゃくちゃかっこ良かったですね。
やっぱり戦ってる時の杉元は最高です!
次のお話 第313話「終着」
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