なにを見せられてしまうのか、楽しみにしていた江渡貝くん回。
原作を読んでいる時は江渡貝くんのキャラの濃さに気を取られていましたが、改めてみるとなんと色々な情報が詰め込まれていたことか。
相変わらず、ネタバレを含む私見だらけの感想なのでたたみます。
土方一派
家永におかゆを食べさせてあげる牛山さん、優しい。
一見「美女と野獣」なふたりですが、家永の中身がおじいさんかと思うと途端に介護色強めに感じられるから不思議。
牛山さんは、性欲のコントロールさえできていれば、弱者を放ってはおけないジェントルマン。
牛山さんは家永のことどう思っていたんでしょう。
最初は牛山さん→家永だったけど、物語が進むにつれ、家永→牛山さんに変化した感があります。
ここら辺がドラマではどんな感じで描かれるのか楽しみです。
尾形曰く、変人(家永・牛山さん)、ジジイ(永倉さん)、チンピラ、の土方一派。
原作では自虐を込めてか自分を「チンピラ」と評していた尾形ですが、ここでは夏太郎のことを指しているように思えます。
じゃあ尾形はなんなのよっていうと・・・集められたのではなく、自分の意志で参加しているフリーランスのスナイパー?
獄中にいたはずの土方さんが情報将校である鶴見さんより一歩踏み込んだ情報を持っている!
土方さんは実際にのっぺらぼうに会っていますから、情報量の差はそこにあったのかもしれません。
土方さん、囚われの身だった数十年間、ずっと脳内でひとり作戦会議をしていたのでしょうか。
脱獄した今、「いよいよそれを実行できる」とワクワクしている様子が伝わってきます。
この時代の70歳でこのバイタリティ。
見習いたいものです・・・。
日高にて
ダンさんはモンスターを倒してもらってご満悦。
ダンさんめずらしもん好きっぽいので、刺青人皮のこと、そりゃ気になりますよね。
人面本は原作では髪の毛もしっかりあって、はがしたおじさんの皮をそのままはったって感じでしたが、ドラマのは顔の部分がくりぬかれていて、眉毛がないから性別不詳であっさりめ。
髪の毛は・・・表紙の上部にちょろっとくっつけてあるこれかな?
結構太めの糸で縫われているところをみると、やっぱり人の皮って分厚いんですね。
しかし人の顔を本の表紙にするとは・・・。
カバンとかならまぁわかる気がするけど、人の顔を撫でまわしながら本読むの、私はちょっと遠慮したいかも。
一体どんな内容の本なのか・・・。
え?これ読む用ではなく飾る用?
無駄にディスってすみません。
夕張にて
洋平の耳(本当は浩平の耳)が片っぽなのは確かにかわいそうだけど、だからといって鶴見さんの耳をあげちゃったら今度は鶴見さんの耳が片っぽになっちゃってかわいそう。
二階堂はこの辺から本格的に様子がおかしくなってきましたね。
栁さんの二階堂、原作を超えてくるので毎回出番が楽しみです。
江渡貝くんが逃げる姿を見た瞬間すぐに反応する月島、さすが。
鶴見さんに「車に気を付けてね」みたいな感じで「殺すなよ」って言われてて、第七師団の面々の殺しのハードルの低さを感じました。
江渡貝くんちが江渡貝くんちじゃない!!!
これにはちょっとびっくりしましたが、あとでこの家の内外で戦うことを考えれば、外観だけ北大植物園の博物館を使うってわけにはいかないし、当然「江渡貝くんちはあの外観じゃなきゃ」というお声はあっただろうけど実現しなかったということは、寄せるのが難しい事情があったに違いない。
全て原作通りにするのが無理なことは重々承知しているので、先日聖地巡礼で見てきた実物の江渡貝くんちに脳内で変換しながら拝見させていただきました。

(モデルとなった北大植物園の博物館を巡礼した時のレポは最後にリンク貼っておきます。)
内装は江渡貝くんちでした。
すごい数の剥製!
この中にはドラマのために作ったものもあるのでしょうか。
ダンさんの家にもアイヌの品々がいっぱいあったし、ドラマにはじっくり見たいアイテムがこれまでたくさん登場しています。
これらをドラマ出演だけで終わらせるのはもったいない。
ゴールデンカムイ展に展示されていた貴重な品々と合わせて、やっぱり「野田サトル記念館」、建てるしかないですね!
江渡貝くん、見た目は大人なんだけど、そこはかとなく漂うピュアな感じとか、とっさに「そんな手袋知らない」「ぼくのじゃない」って言っちゃうところとか、「母さんは黙ってて!」ってプンスカしちゃうところとか、言動が幼い印象です。
お母さんの声は江渡貝くんにだけ聞こえているということなので、お母さんは江渡貝くんの頭の中にのみ存在しているようです。
「この人は悪い男よ」はお母さんが生きていた時から言われてたっぽい言葉ですが、「ズルムケおでこ」は手持ちのカードにはなかったはず。
ということは、これは鶴見さんを見ての江渡貝くんの率直な感想?
それともお母さんだったらこう言うだろうな、という予測変換?
「同じ刺青人皮を持っていて、その皮で洋服を作る」「自分の仕事を正当に評価してくれる」。
自分と同じ価値観を持つ理解者の出現に、一瞬で心をつかまれた様子の江渡貝くん。
依存の対象がお母さんから鶴見さんに移っただけのような気もしましたが、鶴見さんは否定ばかりするお母さんと違って「肯定」と「役目」を与えてくれました。
原作を読んだ時は「刺青の囚人でもないのにまた強烈なキャラ出てきたな」とか「江渡貝くんの鶴見さんへの愛ってもはや狂気」なんて思っていたのですが、今回ドラマを観ていて一番最初に思ったのは、「鶴見さんの人心掌握術やべーな」です。
でも「楽しい!」と満面の笑みを浮かべる江渡貝くんは、解放感を得た喜びに満ち溢れていました。
存在意義があるのとないのとでは、人生の輝きって全然違うものなのですね。
エドガイドレス、原作よりパワーアップしていてどれも素敵でした。
ドラマが始まる前のチラ見せでビーズかなって思った顔まわりの装飾はまさかの歯でした。
これが熊岸長庵の言ってた「芸術家のこだわりと執念」ってやつでしょうか・・・。
原作を読んでいる時、手袋したまま指をくわえていたので、ちょっとバッチ・・・いや、せっかくの皮の手袋が湿ってしまうんじゃないか、そこからカビちゃうんじゃないかと心配してたんですが、ドラマでは改変されていて安心しました。
江渡貝くんの腹筋、確認したら確かに割れていたんですけど、それが顕著にわかるのは、私が見たところお母さんを撃つ場面の一コマだけでした。
全然気が付かなかった・・・まだまだ読み込みが足りない!!
古川さんが全力で身体を作ってきて下さったので、ダンスシーン、とても甘美で美しかったです。
しかし江渡貝くんの衣装ってこんなに露出多めでしたっけ?
二瓶も脱いでたけど暗かったし、シャチのシーンもなかったから、ここまで白昼堂々長時間に渡り肌を露出させたのは、実写史上だと江渡貝くんが初?
鶴見さんが上裸+コートでこれまた意外と露出が多く、ズボンにホルスター下げてるのがなんかこう・・・良い効果をもたらしていた気がしました。
二階堂はお母さんに失礼なことして江渡貝くんを驚かせてしまいましたが、予告でヘッドギア作ってもらえていたところを見ると、どうやらその後誤解は解けたようです。
二階堂が耳を見つけて小さくうなずくのも、「もしもーし」と言いながら去っていくのも、とっても良かったです!
私は基本的に野田先生関連の公式Xしか見ないROM専なので自分から何か発信することはないんですが(そうしないと時間が溶けてブログの更新ができなくなるから)、今回のお気に入りの投票シーンに「ヒグマの熊の胆を売るシーン」がエントリーしていたら、掟を破って投票していたかもしれません。
実写でやってくれたのマジで神。
このシーンの何がいいって、おそらく打ち合わせなしの即興演技にもかかわらず、三人が一番効果的な己の立ち位置を理解し、その役を全うしたところです。
インチキ臭い白石の「猛獣ですわ」、最高でした。
仲間にも容赦ない猛獣の演出、「うるせぇすっこんでろ!」の杉元と白石の呼吸もぴったり。
きっとお三方もノリノリで演じられたことと思います。(妄想)
賢人くんと池内さんは矢本さんの白石に吹き出さないようにするの、大変だったのではないでしょうか。(これも妄想)
子供みたいな立ち方をしているアシㇼパさんの表情もとてもかわいらしく、素晴らしいチームワークでした。
実際こうやって理不尽な扱い受けていたこともあったかと思うと複雑な気持ちになりますが、ここでは正当な値段で買い取ってもらえて良かったです。(むしろちょっと色付けてくれたかも?)
キロちゃんが擦ってるの、ずいぶん立派だから最初長芋かと思ったんですけど、山わさびでしたね。
軟骨コリコリのウクリペのかば焼き、絶対おいしいやつ。
白石が料理知識豊富なのは、きっと網走監獄で自給自足の生活を送っていたからですね。

みんなで小豆をより分けたり、

自炊したり、

生活用具を作ったり。
一点の曇りもない笑顔で下ネタをぶっこんでくるアシㇼパさん。
ドラマでは「オソマに異常な興味を示するアシㇼパさん」があまり見れていませんが、こっち系の下ネタはかなり忠実に映像化されている気がします。
今回めずらしく杉リパが隣同士に並んで座っていないのは、この対話を潤滑に成立させるためだったのですね。
結局アシㇼパさんのシュールな笑いを理解できたのは杉元だけ。
このシーンからは他にも察することができる要素がありますが、まぁあんまりお下品になってもいけませんので・・・やめときますか。
月島の財布!?
茶色い長財布ってことはわかったんですけど、もうちょっとよく見せてほしかったです・・・。
この「月島の財布」を再現したものを販売したら、即時完売間違いなしですね。
前山さんいいキャラだったのになぁ。
前山さんといい、三島といい、気になる新キャラ出たなと思ったら尾形すぐ殺す!
尾形って銃はとっても大切に扱うけど、銃剣の扱いが雑なんですよね。
木から抜く時なんか見もしない。
映画の杉元もそうでしたが、尾形の手がシミだらけできれいじゃないのは、過酷な戦場で戦ってきた証。
細部にわたるこだわりに、愛を感じました。
「道連れ」で逃げた尾形を見失った時に鶴見さんが言った「殺す機会」がやってきました。
月島がかっこいい。
「むんッ」の蹴りもかっこいいし、問答無用で銃を撃ちまくる姿もかっこいい。
原作の月島もかっこいいんだけど、ここは原作を超えたかっこよさだったと思います。
尾形の行動って本当に謎で、月島の言葉も「そんな単純な話かなぁ。もっと深い理由があるんじゃないかな?」って思って聞いてたんですけどね・・・。
答え合わせまでの道のりはなかなかに長かったです。
尾形の笑みを浮かべながらの「シ~」。
なにこの色気。
ここも個人的にはお気に入りの投票シーンに選ばれてもおかしくなかったと思う名シーンでした。
ひそひそ声とはいえ杉元が結構近くにいるからヒヤヒヤしましたが、原作よりずっと演技のうまい実写の白石(矢本さん)のおかげでバレずに済みました。
アイヌだけでなく炭鉱の歴史や、今だったら炎上モノの歌、アイヌへの偏見など、ちゃんと表現してくれているのがゴールデンカムイのいいところ。
実写でもこういうところをちゃんと描いてくれてありがたい。
WOWOWさんありがとう・・・。
原作にはなかった「まさか死ぬんじゃねぇだろうな、不死身の杉元」「あんたもやっぱり生きてたか」ってやり取り、とってもエモかったです。
ふたりが心を通わせる(?)のはもうちょっと先かと思っていましたが、世界ホテルでの手合わせが効いたようですね。
トロッコレースは一部省略されましたが、このシーンが追加されて大満足でした。
ところでこのトロッコ、結構な速さで進んでいたけど動力はなんなんでしょう。
夕張炭鉱博物館に行ったら実物見れるのかしら。
夕張炭鉱博物館、もうちょっと交通の便が良いと助かるんだけど・・・。
今は模擬坑道がリニューアル工事中で見学できないと聞いておりますが、見学可能になった暁には、ぜひ聖地巡礼したいと思います。
杉元はちゃんとござの上に座ってるのに白石は地べたに直でお気の毒。
「しょうがねぇ」といつもの調子でかっこつけてる尾形の顔がめちゃくちゃ顔汚れてるの、これ・・・ツッコミ待ちってことでいいんですよね?
「職人の鑑」
江渡貝くんが最期に月島に「鉄」としか伝えなかったのは、月島のことを信用していないからとかではなく、「『我々にしか』判別できない刺青人皮の偽物を作ってほしい」という鶴見さんとの約束を全うするためだったと思われます。
だから原作では月島を帰した後の鶴見さんのモノローグを、ドラマでは月島に聞かせていたの良かったのかな?ってちょっと思ってしまいました・・・。
月島はこれまで鶴見さんの忠実な部下としてたくさんの人を殺してきましたが、それは鶴見さんの指示だからで、月島が人を殺すことをなんとも思っていないというわけではありません。
杉元も尾形も自力での脱出はできませんでしたが、月島は(おそらく)誰の手も借りず脱出し、偽の刺青人皮を鶴見さんに届けることに成功しました。
しかし鶴見さんお得意の手口で金塊争奪戦に巻き込んだ江渡貝くんを助けることはできませんでした。
鶴見さんは偽の刺青人皮を作らせた後、江渡貝くんの口封じを月島に命じたかもしれません。
でもこの時点でその指示は出ていないし、月島自身は役目を終えたから江渡貝くんを殺そうとは思っていなかったはず。
尾形のいう通り、精神的にも肉体的にも屈強な兵士である月島は、映画からずっと、その表情を崩すことはありませんでした。
江渡貝くんから最後の伝言を聞いた時、そして最後にコートのフードを被った時、工藤さんの月島からは、原作以上に月島の苦悩が見て取れました。
自分の感情を押し殺し、鶴見さんのためにどんな汚れ仕事も全うする月島軍曹。
「職人の鑑」は江渡貝くん回であると同時に、月島回でもあったのではないかという気がしました。
工藤さんの月島、とても良かったです。
江渡貝くんち お宅訪問
ドラマの感想