ゴールデンカムイだらけ

ゴールデンカムイにおける自分的萌えポイントを書いたり描いたりする二次創作ブログです。

ゴールデンカムイ第310話

ゴールデンカムイ第310話「祝福」。

本誌の内容にふれているのでたたみます。

 

タイトルを見た瞬間、あぁ尾形死ぬんだ・・・と思ってしまった第310話。

いやでも死ぬ以外の祝福があるかもと一縷の望みをかけてページをめくりましたが、やはり甘かった。

「祝福」というタイトルではありますが、内容は「壮絶」です。

あの尾形がこんなにあがき、葛藤して苦しむ姿を見せるなんて。

 

いつも同様有益な情報はなく、根拠のある考察もないただの個人の感想です。

長さだけがいつも以上です。

目次つけてみますね。

 

 

ざっくりとしたあらすじ

尾形は横腹に刺さった毒のついた矢尻を取り出します。でもそれ周りの肉ごと取り除かないとアカンやつ。案の定毒のダメージで汗ダラダラです。

「アシㇼパさん射てッ」という杉元の言葉に反応してか、銃口をアシㇼパさんに向けた尾形の前に、勇作さんが立ちふさがります。

これまでちょいちょい姿を見せていた勇作さんの正体が、尾形の罪悪感であることが明かされました。

尾形がずっとないものとしてきた罪悪感の存在を認めることは、彼がこれまでしてきたことを根底から覆すことになります。

向き合ったら負けと考えた尾形は、自分の左目を撃ち抜き、破滅する道を選びます。

杉元を襲っていたヒグマはアシㇼパさんが毒矢で退治。

尋常ではない列車の揺れを感じ動揺する杉元、アシㇼパさん、白石の前に鶴見さんが姿を現わします。

 

 

 

用意されていた「祝福」

尾形ってミステリアスな部分が多く、読む人が自分の萌えで補完して自分なりの尾形を愛でることができるので、読者の数だけ尾形像があると思います。

私は野田先生の描かれる尾形が謎過ぎて、結局自分の尾形像が見えないままここまできてしまいました。

でも先週の濡れ場(?)を見て、ちょっと方向性が見えた気がしました。

同時にこういう場面を見せてくれたということは、尾形の死が近いのではないかとも思いました。

そうなると尾形の最期を考えずにはいられません。

やっぱり杉元に殺されてしまうんだろうか。そう思いましたが、どんな死でも自分が納得できる気はしませんでした。

そんな尾形の死を受け入れたくない気持ちをねじ伏せる、圧倒的なパワーを持った今回の「祝福」。

これまでの様々な場面が全て伏線だったかのような演出。それらがこの尾形の最期に向かって怒涛のごとく押し寄せ、まるで舞台か映画を見ているかのようでした。

野田先生はこのゴールを見据えながらここまで尾形を描かれてきたのではなかろうか。

毒矢に撃たれたヒグマは3コマで死んだのに、尾形は10ページ以上葛藤しました。

おそらく実際は一瞬の出来事、まさに走馬灯だったんだと思います。

こんなん見せられたらぐうの音も出ないじゃないですか。

 

 

勇作さんの正体=尾形の罪悪感

勇作さんの正体は尾形自身の罪悪感でした。

自身の境遇と戦争という状況の中で、人を殺すことの罪悪感のあるなしを、愛されているか愛されていないかで判断するようになった尾形。

「愛されていない=罪悪感ない」尾形は、バンバン人殺しちゃうし、清い子供のアシㇼパさんだって殺せちゃうよと何度かチャレンジをします。

しかしそのたびになぜか勇作さんが邪魔してくる。

勇作さんの正体に薄々気付いていた尾形にとって、勇作さんはずっと目をそらしていた事実を突きつけてくる悪霊でしかない。

今回出てきたのは尾形ビジョンの勇作さんなので、大層不穏でなんだか怖い。

尾形こんなおそろしい弟飼ってたんか・・・辛かったのぅ。

 

一方で、尾形が「勇作だけが俺を愛してくれた」って自覚していたことにちょっとびっくりしてしまいました。

ちなみに走馬灯の中の尾形がこれを言った時、後ろで勇作さんがめっちゃ笑顔で「いやないない!」みたいに指でバッテンしてて、尾形が後ろ手で「いらんことすな」みたいなツッコミいれてますよね?(いれてなかったら盛大な読み間違いですのでお気になさらず・・・。)

こういう関係を築けていたかもしれないのにと思うと胸が痛い。

そしてそれを見ている菊田さんの笑顔がまた。涙

 

尾形が「俺罪悪感ないけど何か?」という思考に行きつくまでの紆余曲折って、

自分に罪悪感がないのは愛されてないから→もし自分が愛されてるのに罪悪感がないんなら、愛されてる勇作さんにも罪悪感ない可能性ある→(勇作さんを殺してみる→お父さんに悪態つかれる)→自分は愛されてなかったし、愛されてる勇作さんは罪悪感がない人なんていないって言ってた→【結論】愛されてない人は罪悪感ない、愛されてる人は罪悪感ある

ざっくりまとめるとこんな感じでしょうか?(なんかこの辺ややこしくて・・・違ってたらすみません。)

でも、そもそもなんで尾形は自分に罪悪感がないって思っちゃったんでしょうね。

やっぱりあれかな、お母さんを殺した罪悪感から目をそらしたかったから、ですかねぇ。

当初はお父さんに会わせてあげよう!というかわいらしい?発想だったかもしれないけど、結局お父さんは来なくて、ただお母さんを殺しただけになっちゃった。

そんなの認めたくないから、「お父さんはお母さんを愛していなかったから会いに来なかったんだ」「ふたりに愛がないからお母さんを殺してもなんとも思わない自分が生まれたんだ」と考えることにした。

自分は欠けた人間だから、罪悪感なんてない。

そうやって罪悪感の存在に蓋をしたのに、勇作さんとアシㇼパさんがその蓋を開けようとする。

それもうパンパンだから触らないであげて・・・。

 

 

尾形の弟 勇作さん

満を持してお顔を見せてくれた勇作さん、最初見た時「杉元じゃん!」って思いました。

でもよく見ると眉毛がしゅっとしていて、まつ毛もくるりん。下まつ毛もぱっちりです。

多分あおりだからぱっと見そのへんの細かい違いに気付かなかったんですけど、この構図からも、尾形の罪悪感の大きさが窺い知れます。

それにしても、こんなに勇作さんに似ている杉元と、勇作さんと同じく清いアシㇼパさんと、尾形はどんな気持ちで一緒にいたんでしょう。

樺太で、たまーにアシㇼパさんにすんごい優しい顔で声を掛けてる時あったけど、アシㇼパさんに勇作さんの姿を重ねて、弟にできなかったことをしてみてたのかな。

もー泣きそう。

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樺太の走馬灯尾形、右目にちょっと光が見えますね。

でもえぐられちゃった。

 

 

尾形百之助の最期

勇作さんはヴァシリとの対決の時尾形を助けてくれたから、いつかきっと尾形を救ってくれるんだと思ってました。

尾形(小)は「罪悪感ある→愛されてる」と聞いて「ああ良かったなぁ」って思えたみたいですが、尾形(大)はもう引き返せないところまで来ちゃってた。

そうなると、「兄さまは祝福されて生まれた子供です」という勇作さんの言葉は、もはや救いではなく、自分の存在を否定する決定打です。

勇作さんもそれわかってて銃に手を添えてる。おそろしい・・・。

とはいえ、愛されることは尾形が一番求めていたものでもあったわけで、それが最期のほほえみの理由であってほしいという気もします。

それにしてもこの高笑いしている勇作さん。

宇佐美は後頭部ど真ん中を撃ちぬかれたって言ってたけど、尾形と同じく左目から血を流してますね。

地獄行き列車からは降りた尾形ですが、こんな勇作さんと一緒に行く先は一体どこなんでしょうか。

 

尾形の壮絶な死にざまを見て、「安らかに死なせてもらおうとは思ってない」と言っていた杉元が心配になってきました・・・。

 

 

杉元の笑顔の理由を再考する

で、その杉元ですよ。

前回、なんで杉元が笑っているかについてはわからずじまいでしたが、もやっとするからあれから何度か見返しました。

よく見たら、杉元の左目にうっすら線が入っているではありませんか。

・・・これはもしかして涙?

悲しみの涙なのかもですけど、何か込み上げてきたり、強い思いから解放された時、涙出ちゃうことってあるじゃないですか。

それ的なものだとすると、あれ笑顔じゃなくて緊張が解けて緩んだ顔の可能性ありますよね。

あと杉元って気持ちが揺れる出来事が起こった時、笑顔かと思うような顔しませんか?

梅ちゃんの花嫁姿見た時しかり、姉畑先生の偉業?を見た時しかり、尾形が逃げた時しかり。(あ、オガタがニゲタは本当に笑顔だったかもしれませんが。)

だから単なる嬉しい系の笑顔じゃないのかもと思ったんですけどちょっと待って。

なんですか、今回の「アシㇼパさん射てッ」は!

殺されるくらいなら殺す理論発動かと思いきや、これ尾形が銃を構える前に言ってますよ。

なんなら杉元の言葉を聞いて尾形銃口向けた感すらある。

杉元って気持ちの切り替えスイッチのオンオフが瞬時に行えるので、アシㇼパさんが人を殺そうとしたことはショックだったけど、そうなっちゃったんならとことん一緒に地獄へ行こうぜ相棒!なの?え、そんなことある?

というわけで、やっぱり結論の出ない杉元の笑顔の理由、教えて野田先生。

 

ラスボス鶴見さん

次回はいよいよ鶴見さんとの対決になりそうですね。

前回あまりの衝撃にスルーしてしまいましたが、鶴見さんが北海道で確かめたいことってなんなんでしょうか? 

 

少し前の話、第304話「歴史」で、みんなちょっと鶴見さんに疑問持ち始めてるのに、なんで尾形はこんなに盲目的に鶴見さんを信じてるのかしら?と感じた違和感、今回の話を読んで納得できました。

鶴見さんは、欠けた自分を肯定してくれる、唯一で最後の砦。

異常にテンション高かったのも、ちらちら姿を見せ始めた勇作さんを否定するためにも一刻も早く奴らを見返したいのに、もーなんで他のことに気を取られてるの!って必死だったんですね。

鶴見さん、尾形の気持ちに応える気あったのかしら。

鶴見さんがもうちょっとちゃんと面倒見てくれてたら尾形こんなことにならなかったんじゃないですかねぇ。

 

 

 

今回の「祝福」、尾形の死にざまに全く不満はないですが、尾形が死んでしまったことは悲しんでもいいですよね?

尾形の死、日を追うごとに悲しみが増します。

私尾形大好きだったんだなぁ。

そして私なりの尾形像、見つかりました。

 

 

まだ言うことあるんかい! 第310話「祝福」追記

mimizuku556.hatenablog.com

 

 

次のお話 第311話「アシㇼパの選択」

mimizuku556.hatenablog.com

 

 

ひとつ前のお話 第309話「血濡れ事」

mimizuku556.hatenablog.com

 

 

ご参考 第304話「歴史」

mimizuku556.hatenablog.com

 

 

杉元の笑顔の理由が判明した記事

mimizuku556.hatenablog.com